text(平浦)

□うえかしたかまんなかか(月の〜の続き)
1ページ/1ページ

『シンジィ〜、良かったね〜!!白もうっれしい〜vv 』

『ああ、せやな、ありがとう、白』

『いいよ〜ふふ』

平子が浦原商店から帰ると、宴会が開かれていた。
主役を待たずに始まっていた座は完璧に出来上がっていた。
平子はひとり素面でいるのはまずいと、駆けつけ三杯とばかりに酒を煽った。
ふと見やるとひよ里がソファで寝ていた。

『なんやねん、ひよ里寝てるやん』

『誰かさんのこと、必死で探してたからね〜。疲れたのさ。自分のせいだって、思ってたんじゃないかな』

ローズが平子をニヤニヤしながら見た。

『あ、アホやな。でも、おおきにな、ひよ里。みんなも、ありがとう』

こんなこと、今言わなきゃきっと一生言わないだろうと、平子は頭を下げた。
それを見たローズもラブもハッチも黙って微笑んだ。

『ええ。そんなことより、シンジ!!』

リサが平子の襟を掴む。

『なんやリサ、おま、ごっつい飲んで…』

『キスくらいしてきたんやろな』

『ええ?』

リサに睨まれて平子は思わず目をそらす。

『リサ〜、いいね!!イケイケ!』

いつもは止めてくれている面々まで、聞く気満々という風だ。酒の力は恐ろしい。
ついさっきのことだが、なんだか記憶が曖昧で実のところよく覚えていない。

(キスっちゅうか、ほんま舞い上がり過ぎて夢だった気すらしてんのに、…なんてよう言えん…)

『なんや?してないんかいな、しょーもないな!!ガキの使いやないんやで!!』

リサが呆れたように天を仰いでソファにもたれ掛かった。

『ガキて…。そんな余裕まったくなかってん』

自分のあまりの余裕なさにがっかりもしてしまう。
喜助がきっかけを作ってくれたのに緊張しすぎて…

(あれじゃ、ただのおやすみのちゅうや。)

『そんなんじゃ、確実にシンジが下やな』

『そうだなあ、まあ、どっちかっていえばシンジの方が身体ちいせえしな!!ハハハハ』

『残念でス』

『え〜なに?何の話ぃ〜』

白が目をこすりながら聞いてくる。

『おまえは黙ってろ。ややこしくなるだろーが』

『ケンセーのばかあー!なになに〜!?』

白が拳西にじゃれついて押し倒した。
いつもなら倒されることなどないが、酒が入ると拳西も油断するようだ。

『上下は関係ないじゃない?』

横目で二人をチラッと見たローズが言う。

『確かに!!』と平子以外が爆笑する。

『…お、おまえら〜ぁ!!』

平子が立ち上がる。
あ、ちょっとやり過ぎたかと誰もが思った。

『俺のが男役に決まってるやろ?!』

予想外の答に、騒がしかった座がしんっ…となった。
リサが冷めた口調で言う。

『なんや、もう、やる気まんまんやないの。からかいがいないな』

『なんか、ひくなーシンジが上って…』

ラブも乗り出した身をひく。

『喜助もびっくりするよねー、きっと』

ローズが笑う。

『な、なんやねーん!!ふ、ざけんなや、お前ら〜ぁ!!なんで俺が下やねん、てか、なんで引いてんねん!意味わからん!!』

『シンジはやられるほ〜だよね〜』

『白!!』

『きゃ〜ぁ!!』

こうして酔っぱらいたちの幸せな一時が過ぎていった。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ