text(虎兎)

□恋は嵐のように4
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『あ、おはようございます、虎徹さん』

俺はあまりの事にフリーズした。
俺は昨夜ほとんど愛の告白めいた事をしでかしてバニーんちを出た。バニーの気持ちもほとんど解る。俺はバニーが好きで、バニーも俺が好き…な、はず。
そのはずだけどな…この、いつもと同じバニーの変わらなさは何?

『虎徹さん?…どうしたんですか?五分遅刻なんですから、早く仕事始めてくださいよ。今日〆切あるの忘れてます?』

いつものように俺を小馬鹿にしたようにしゃべってくる。

『ば、バニー?』

俺がちょっと動揺しながらもバニーを呼ぶと、

『なんですか?』

と振り返るバニー。目があったのに特に変わった様子もなく、

『具合でも悪いんですか?汗、すごいですけど』

なんて、怪訝そうに聞いてくる。
あれ、俺昨日のアレ、俺の夢なの⁉︎何それ、恥ずかしい‼︎本当に夢か?

『バニー、昨日、俺さ?…』
と、言いかけでバニーに遮られた。

『あ、虎徹さん、僕これから斎藤さんの所へ行ってきますから。サボらないでやってくださいよ。』

バニーは、さっさと部屋を出て行ってしまった。

なんだよ。こっちはちょっと、いきなりあんな風に迫ったのまずかったかな、とか、いろいろ悩んで、どうやって声掛けようか、いろいろシュミレーションしたっつーの‼︎くそッ。
やらなきゃならない書類は全くやる気が起きない(いつもの10倍は起きねえ。)
事務のおばちゃんが落ち着かない俺をたまに睨んでるけど、どうしようもない。
バニー、斎藤さんのところに何しに行ったんだろう。
昨日のリサの件かな。
そういやバニーの口から出てきたあの白い玉、なんだったんだろう。それかな…?

『タイガー、仕事しないんだったら見てくれば?バーナビーのメディカルチェック。』

俺が微動だにしないので、心配してくれたのか、それにしては声が冷たいが…。

『メディカルチェック?』
パッと顔をあげると、呆れ顔のおばちゃんがいた。

『バディのスケジュールも知らないの?公の予定くらいはちゃんと確認しておきなさいよ。急に入った予定だけどさ。バーナビーはいつも朝一であんたの予定まで確認してるんだから。』
おばちゃんは全く仕方ない相棒だわね、と言いながら部屋を出て行った。

『バニー…』
名前を呟くと胸の奥が熱くなる。いつも何も言わずにフォローしてくれてる。
あんなに俺をバカにしてくるし、やたらと外面良いし、小言も多いけど、実際面倒かけてる俺を最後には必ずサポートしてくれてる。
昨日の夜のが夢でもいい。
俺は幸せ者だ。
とりあえず…バニーが心配だから、斎藤さんとこ、俺も行ってみよう。
俺はハンチングをかぶり、足早に部屋を出た。
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