「甘くていい匂いーv」
「フィル…また勝手に入ってきて」
「ねぇねぇ何作ったの?」
「カボチャのタルト」
「…もしかしてハロウィンのこと知ってる?」
「一応な。フィルも知ってるのか?」
「うん。リチャード兄さんに教えてもらった」
「ふーん。………わかったからそんな期待のこもった眼差しで見んな。今切り分けるから待ってろ」
「やった♪」



「はい、お待た…」
「ちょっと待って。やっぱりちゃんと言わなくちゃ」
「あっそ(無駄に拘るな…)」
「姫。Trick and Treat」
「はいはい、どうぞ……ん?」
「いただきまーす♪」
「いやいや、今何つった?おかしかったよな?」
「おいしーv……え?Trick and Treat」
「Trick or Treat…お菓子をくれなきゃ悪戯するぞ、だろ?」
「Trick and Treatじゃないの?僕はそう教えてもらったよ」
「またリチャードか…。で、それどういう意味なんだ?」
「えっとね、お菓子をくれたらお礼に甘ーいイタズラでお返ししてあげる」
「は?」
「姫はお返し何がいい?」
「なっ…!バカじゃない、ん、」

黙って、と言うように口に当てられた人差し指。
その指先にはタルトに盛られていたカボチャクリーム。
それは口紅のように彼女の唇に飾られる。
行為を終えた指先はそのまま顎を掬い取り、

「全部食べちゃっていい?」

ゆっくりと全てを味わい尽くすように、甘い甘い悪戯は繰り返された。





       豆王国(LTB)






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