長編

□深緑の輝きは癒しと未来を創る光
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ニールside

「ごちそうさまー!」

夜になり、フェイトを加えた4人で夕食を食べた後、ヴィヴィオがいつもの魔法の練習をしに出かけようとしていたのをなのはが止めた。

「ヴィヴィオはもう4年生だよね。魔法の基礎も出来てきたし、そろそろ自分のデバイスを持ってもいいんじゃないかなって。」

するとフェイトが隣にある自分の家から帰ってきて、持っていた掌より大きいくらいの白い箱をヴィヴィオに渡した。ここに来る前にマリエル女史から受け取ったそうだ。

「いつの間に……。」

俺はそうつぶやいたが、別段気にせずに見ていることにした。

ヴィヴィオが箱を開けると中にはウサギのぬいぐるみが入っていた。

「そのウサギは外装か。」

「そうだよ。中の本体は普通のクリスタルタイプね。」

俺の質問にフェイトが答える。

とヴィヴィオが俺たちを見ているうちにウサギが箱をよじ登って浮遊する。

「と、と、飛んだよ、動いてるよ!?」

ヴィヴィオはビックリしてなのはとフェイトの間に入ってしまった。マリエル女史が付けたおまけ機能だとフェイトが言っていた。

「色々とリサーチもしてヴィヴィオのデータに合わせた最新式ではあるんだけど、中身はまっさらな状態なんだ。」

「名前もまだ付けてないないから付けてあげてって。」

なのはとフェイトでデバイスの説明をしていく。

ああ、随分年月経ったなあ。俺なんかもう31歳だ。

「えへへ、実は名前も愛称ももう決まっていたりして。あっ、そうだママ!リサーチしてくれたってことはアレ出来る!?アレ!!」

「もちろん出来るよ。」

ヴィヴィオが言っているアレとは……ああ、なるほどアレか。フェイトだけは分かってないみたいだが。

[マスターも意地が悪いですよ。]

ケルディムの念話を無視してヴィヴィオの方に目を向ける。

庭に出たヴィヴィオの足元から七色に輝くベルカ式魔法陣が現れる。

「――――マスター認証、ヴィヴィオ・D(ディランディ)・高町

術式はベルカ主体のミッド混合ハイブリッド

私の愛機(デバイス)に個体名称を登録

愛称(マスコットネーム)は『クリス』

正式名称『セイクリッドハート』」

なのははその名前が余程嬉しかったのか、顔を赤くする。

フェイトも多分俺もまっすぐなヴィヴィオの気持ちを感じて笑顔になる。

「セイクリッドハート、セーットアーップ!!」

ヴィヴィオの周りを七色の光が球となって覆い、その光が止むとそこには…

18〜20ぐらいの姿、それもゆりかごで俺となのはと対峙した時になった格好の一部をなのはと同じ白に変えた、いわゆる「大人モード」になったヴィヴィオがいた。

「ん…!やったあー!ママありがとー!」

「あー上手くいったねー。」

[Excellent.]

ヴィヴィオとなのはとレイジングハートが喜ぶ中、フェイトだけは驚愕の表情をしてへなへなと尻餅を着いてしまった。

「……あ。」

「なのは、お前フェイトに教えてなかっただろ。」

[マスターは最初から気付いてました。]

「なのは、ヴィヴィオが……ヴィヴィオがああー!!何で聖王モードに!?」

大人モードの事を知らなかったフェイトは心配症もあいまッて混乱しだした。

予想以上だな……って!

「あ、おいケルディム、余計な事を言うな!」

「いや、あの、落ち着いてフェイトちゃん、これはね?」

「ちょ……なのはママ、何でフェイトママに説明してないのー!?」

「いやその……うっかり。」

「うっかりってー!それとパパもフェイトママに意地悪するならもう口聞いてあげないもん!」

「わ、悪かったからそれだけは止めてくれー!!」

いくらガンダムマイスターであっても自分の娘には弱い、というのが今日よく解った。





その後は、ヴィヴィオはなのはと一緒に外へ出かけていった。

フェイトもリビングでさっきのヴィヴィオの大人モードについてエリオとキャロに定時連絡で聞いていた。

俺はというと皆から罰としてまだ片付いてない食器をキッチンで洗っていた。

洗いものをしている間、俺はおやつを食べていた時に伝わった言葉を思い出していた。



僅かに聞こえてきた『天上人が来る』という言葉。



それは俺の知る限りでは……ソレスタルビーイングしかない。

誰だか知らないが、刹那たちが来るということを言いたかったのだろうか?

完全な憶測でしかないから今は保留に……。

「二ール、ちょっと来て。」

しようとしたらフェイトが呼んできた。

黙ってフェイトの近くまで来たら、エリオが神妙な顔つきで俺を見ていた。

「実は二ールさんに会いたいという人がいるんです。」

そうしてエリオが横に退いて、その人物が画面に現れた。

その人物は……

「生きてて良かったよ、ロックオン。」

ヘアスタイルが変わったが見間違えようがない。

「ア、アレルヤだってのか!?」

金と銀のオッドアイをしたキュリオスのガンダムマイスター



アレルヤ・ハプティズムだった。



to be continue...
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