長編
□深緑の輝きは癒しと未来を創る光
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―ニールside
まだ午後2時と日が高く昇っている頃、俺は白い教導官用の制服が汗ばむのを気にせず走っていた。武装隊教導訓練を終えたばかりもあって疲労も一潮だ。
「はあ、はあ、ただいま!」
そう言って俺はブラウンに塗られたドアを開けて、体を落ち着かせながら今から3年前から住んでいる我が家に帰ってきた。
「お帰り、二ール。そんなに息を荒げて大丈夫なの?」
リビングから黄色のエプロンを付けたなのはが出てくる。そのお腹は見てすぐ分かる位に膨らんでいる。そう、なのはは妊娠している。もう10ヶ月は経過してて、いつ陣痛が起きてもおかしくない状態だ。
「ふう……おう、体調はどうだ?」
「問題なし、元気いっぱいだよ!」
笑顔で腕を少し上げるなのはだが、俺は靴を手を使わず足で器用に脱いでなのはを抱き締める。
「そう言いながらお前は無茶するから急いで帰ってきたんだよ。」
「もう……バカ。」
そう言いながら抵抗せずに受け入れる辺り自覚はある。十中八九、性分でなかなか直せないということだ。
俺はしゃがんでなのはのお腹を優しく擦る。
「もう少しで産まれるな。」
「うん。」
そこに桃色の羽を出したレイジングハートが宙を浮きながらこっちに移動してきた。
[マスターとお腹の赤ちゃんのバイタルは異常ありません。]
レイジングハートには今、ヴィヴィオの魔法の基礎の勉強を手伝ったり、なのはのお腹の子供の体調管理をするなど色々やってもらってる。そのため、羽が付いた状態で単体飛行が出来るようになっている。
<サンキュー、レイジングハート。>
レイジングハートにお礼を言いながら再びなのはのお腹を擦る。この子たちが産まれる頃にはもっといい時代になるように、今俺たちは頑張っている。当然、そこにはヴィヴィオやナンバーズたちも含まれる。
なあ、お前らは今どうしてる?
刹那、アレルヤ、ティエリア、そして……ライル。
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