長編
□ヒーローTV・フロニャルド出張録
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―バーナビーside
『ボンジュール、ヒーロー。シュテルンビルド・地区にて強盗事件発生よ。』
雲一つない快晴の中でのんびりと公園で過ごしていた休憩時間。そこにヒーローTVプロデューサーのアニエスさんから、事件発生の報が入った。
いつものようにアポロンメディア社にいる斉藤さんがパワードスーツ装着装置付きの大型輸送トレーラー、トランスポーターを運転してこっちに来た。
「早く行こうぜ、バニー!」
「そう急かさないでくださいよ、虎徹さん。」
我ながら冷静に返していると思うけど、今は緊急事態。走ってトランスポーターに乗り込む。
乗り込んだところで、服を全て脱いで特注のアンダースーツを着る。おじさんはというと、片足を壁に引っ掛けてこけそうになりながらも何とか着終わった。
「何しているんですか、虎徹さん。」
「あはははは、つい慌てちまって。」
「しっかりしてください、ほら、さっさとスーツを装着しますよ。」
「おうよ、バニーちゃん。」
虎徹さんとヒーロースーツの装着チャンバーに両手を横に伸ばして身を任せる。すると、胴体に始まり、腕、足に特殊な素材で出来たパワードスーツのパーツが左右上下から出て来て装着されていく。
一通り装着したことを確認して、別のところから出てきたセンサー等の機能が付いたフルフェイスヘルメットが出現、頭に被る。
僕のパワードスーツは白と赤とクリアピンクを基調としてラビットをモチーフにしたシャープなデザインだ。
虎徹さんのパワードスーツは白とクリアライトグリーンを基調にシルバーで縁取りされ、腕にはワイヤーなど多目的な機能が内蔵されたアームガードが付いている。
僕たちのヒーローとしての姿だ。
「ではいつも通り……行きますよ、おじさん。」
「おう、いつも通りサクッと解決しようぜ、バニーちゃん。」
今日もヒーローとしての仕事が始まる。
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