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□結婚理由
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あれからパーティーが終わり現在オレの部屋にはナマエが居る。



「へぇ、やっぱり個人の部屋もお広いんですね」


「うちに来たことあるの?」


「ええ、一度だけですが来たことありますよ」



珍しいこともあるものだ。商談だろうが、それでもわざわざ家に招待するなんて余程ナマエを気に入って信頼しているのか。



「うちの親がね、貴方と結婚しなさいとうるさいんですよ 。多分お金目当てです」


「オレも母さんがお前を気に入っててさ」



だからこの家にナマエを連れ込んだ訳だ。



「そこで、お互いのために私達は結婚した方がいいと思うんです」


「待ってよ。お互いのため、ってオレは別にメリットが無いんだけど」


「鋲を毎日メンテナンスしてあげます。勿論無料で」



不覚にも心が揺れる。



「こちらとしては、結婚していただかないと命が危ないのですよ。結婚しないとなれば殺されるかもしれない。鋲は父でも作れますから」


「だろうね。うちの内部見てる訳だし」



脅かすために言ったがナマエはたいして困った顔もせず「参ってるんですよ」と言う。



「言葉を変えましょう」


「何」


「私と結婚してください。イルミ様」



目を真っ直ぐに見ての逆プロポーズ。ナマエの無表情は、良く捉えれば真剣な表情に見えなくも無い。
さすがのオレも、何も感じずにはいられない。



「……まぁオレもそろそろ誰か決めないといけないし。お前なら退屈しなさそうだね」



ちゃんとイエスと伝わったようで、ナマエは頭を下げた。



「ありがとうございます。この結婚に愛はありませんが、精一杯妻の役割は果たします」


「愛はありません、か。いつか情が湧くのかな」


「さぁ。どうでしょうね」



クスッと悪戯っぽく笑ったナマエ。これから長い間連れ添うのだから、情のひとつやふたつ湧いてもおかしくない。もちろんオレは沸かないが、この生意気なナマエをどうにか屈伏せてやりたいと思った。




結婚理由
(身の安全とお金のため)
(生意気な女を落としてみたい)
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