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□キミはヴィーナス!
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「ごらんナマエ。地上の星がキレイだろ」



キザなセリフ。普通なら痛々しいが、この男が言うのならしっくりくる。
上品な服を着こなしているヒソカ。普段からは想像できないほどイケメンである。

高級レストランの最上階で夜景を見ながら、これまた最上級の料理を頬張るナマエ。
うん、とだけ返し黙々と食べ続けている。



「もっとムードを楽しみなよ」


「楽しんでるよ。あー楽しい」



ナマエの目線は料理一直線。
ヒソカはキミらしいと思いながらワインを一口飲み、口を開く。



「今日、何の日か覚えてる?」


「初めて二人であそんだ日」



目を細め頬を緩める。
適当なようで、些細なことも覚えていて、小さなことも大切にしている。
ナマエのこういうところが好きなのだ。



「愛してる、ナマエ」


「……」



急にぎこちなくなるナマエ。照れ屋だということは承知だが、ついつい苛めてしまう。



「わ、私も」


「私も? ちゃんと言ってくれないと分からないなぁ」


「いいじゃん、ご飯冷めるよ」



皿をナイフで切る音。自分で出した不快な音にナマエが顔を歪める。



「ククッ」


「笑うな!」



必死になっているナマエが愛くるしい。全て自分のものにしい。心からそう思う。



「言ってよ」


「言わなくても分かるでしょ」


「聞きたいんだよ」


「言いたくないっ」


「うーん、強情」



仕方なくバンジーガムを引っ付ける。



「! ちょっと……っ」


「ここでキスしちゃおうかな」


「さ、さすが変態」


「だろ☆ じゃ、早速…」


「やめっ、言うっ、言うから!!」




体を引き寄せるのをやめる。ナマエは涙目でヒソカを睨み付けた。



「……好き」


「そう睨むなよ。欲情するだろ」


「ヒソカってマゾなの?」


「どっちだと思う?」


「両方」


「正解。ボクは攻めるのも攻められるのも好きだよ」


「何の話かなヒソカさん」


「やだなぁこんな所で言わせる気かい? ナマエこそマゾだと思ってたら意外とサディストだね」



ナマエは溜め息を吐いて食事に戻った。



コース料理を美味しく頂いた後は、ナマエも美味しく頂きました。やっぱりナマエはマゾ寄りだと判明しました。



キミはヴィーナス!
(素直になれないキミも可愛いよ)
((ヒソカはもうちょっと羞恥心を持った方がいいと思う))

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