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□ライクとラブ
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「ゴン……あのね」
「うん」
「お、驚かないでほしいんだけど」
「うん」
「あたし、あたし、……」

君が好きなんだ。

ああダメだ。この言葉が出ない。顔が熱い。頭は真っ白。目眩もする。

「どうしたの?」

ゴンが心配そうにあたしの顔を覗きこむ。
やだ! やめてよ! そんなことされたら余計にダメだよ!
心の中で叫ぶが、もちろんゴンには伝わらない。こつん、あたしのおでこに、ゴンのおでこがぶつかる。

「うーん、熱は無いみたいだね」
「ゴ、ゴゴゴゴン!!」

抑えきれない動揺。あたしは狼狽えまくる。
だって! ゴンの顔、近いよ!

「ちか、近いよ……」

ダメ、今、あたしの顔真っ赤だ。きっとゴンが好きだって書いてある。

「嫌だった?」

ゴンは悲しそうな顔をしている。そんなことない、嫌じゃない、むしろ嬉しい。

「嫌じゃないよ」

嫌だなんて、有り得ない。

「ナマエ、オレと一緒にいるとき、いつも困った顔してるよね」
「だって、だって、どうしたらいいかわからないんだよ……」

誰かを好きになるなんて、初めてなんだもん。

「何が分からないの?」
「……き……ら」
「え?」
「好きだから……好きだから、どうしていいかわからないんだよ」

かあっと顔が熱くなる。あぁ、とうとう言ってしまった。どうしよう、これで今まで通りじゃなくなってしまう。言うんじゃなかった。でも言いたかった。ワケわからない。

「オレもナマエが好きだよ」
「!」

ほ、本当に……?
嬉しい! 思わず涙で視界が歪む。


「でもどうしたらいいかわからない、なんて思ったことないよ。一緒に居たいから一緒に居るし、話したいから話してる。気を使うことなんてないよ」

ゴン……。あたしは、君のそういうところが好きなんだよ。

「ミトさんにもそんなこと思ったことないよ」
「え???」

思わず耳を疑う。
え、何、今何て?

「きっと、ジンに会っても思わない」
「いや、ゴン……。え?」
「ナマエは何をそんなに気にしてるの?」

ええー。そういうパターンなの?
思わず肩を落とす。
君の好きとあたしの好きは違うんだね。いいさ、いいさ。別に……。

「あたしが間違ってたよ。ゴン、これからも仲良くしてね」
「勿論!」





ライクとラブ
(二人の“好き”は違うけど)
(まぁ、悪くはない)

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