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□素直になれば?
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「イルミ、練習に付き合ってよ」

「いいよ」

了承したのはいいけど、一体何の練習なんだろう。椅子に座ったままナマエを見上げる。

手を掴まれ、立ち上がるように促される。なんで? と思いつつ、ナマエに連れられ歩いていく。……ベッド?

「横になってよ」

「なんで?」

「い、いいからっ」

訳が分からない。まぁ実力はオレの方が上だし、殺されることは無いから言われるまま横になる。

ナマエもベッドに上がり、オレの上に乗っかる。そして両手を押さえつけてくる。

「……何これ?」

オレが組み敷かれているような図だ。ナマエは恥ずかしそうにしている。
オレは頭を働かせた。練習って、まさかこれ?

「セックスするの?」

「もっとオブラートに包んでよ! ……次の仕事、色気を使って相手をから情報を引き出さなきゃいけないんだよ。だから、練習」

「じゃあ、オレを誘惑してみてよ」

ナマエは戸惑ってから顔を近付けた。ちゅ、と触れるだけのキス。

「……」

「……」

「……無理だ、どうしよう」

悩ましげに眉を寄せ、溜め息を吐く。

「ナマエって経験無いの?」

「は!? 別にヤる訳じゃないよ! ただ色仕掛けをやれって言われてるだけでっ」

「処女にはキツいね」

「もっとオブラートに包んでよ……」

肩を落とすナマエ。

掴まれていた両手を逆に掴み返し、体を反転させる。

「えっ!?」

目を真ん丸にし、オレを見上げてくる。さっきとは正反対の位置だ。

「ナマエもさ、ヤれば色気でると思うよ。多少は」

「いや、あの……っ!」

脇腹を触ると、途端に強張る体。これでは色仕掛けなんか到底無理だろう。

「オレが教えてあげようか」

「な、にを」

「色仕掛けのやり方」

耳元で囁けば、ナマエはくすぐったそうに身を捩らす。

「や、……っ」

「素直になれば?」

「……うぅ」

小さく「お願いします」が聞こえたのを合図に、オレはいただきますと言って行為をスタートした。




素直になれば?
(最初から狙ってたんでしょ?)
(っん、ずっと好きだった)
 

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