妄想天使

□妄想天使と蜘蛛
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監視だ、なんて言われたけど特に監視されている感じはしない。観察されている、が近い。何だか緊張する。


「私、小学校の時にヘチマ観察したんだ。あの時のヘチマもこんな気持ちだったのかなぁ」


クロロは話さない。つまらないなぁ、せっかく憧れのクロロが目の前に居るのに。


「誰?」

「っうわ!」


耳元で聞こえた声に肩を震わす。あぁ心臓に悪い! 振り替えると美人さんなマチさんが。


「やっぱ美人だわー」

「……何者だい、あんた」


鋭く睨まれる。これが殺気というものだろうか、体が震える。


「わ、私はシエラです。怪しい者ではありません」


何言ってんだ自分。怪しい、怪しすぎる言い分だ。


「マチ、やめろ。こいつは殺すな」

「いやんクロロ守ってくれるの?」


殺気がキツくなる。このままだと倒れそうだ。


「団長、女遊びもそこそこにしたら? アジトにまで連れ込むなんて」

「私遊ばれてないよ、観察されてるだけ」


こいつ大丈夫か? みたいな目でマチが見てくる。


「自称予知能力者だ」

「念糸を使って追跡や怪我の治療をする変化系念能力者。ヒソカのことが大嫌い。当たってるでしょ? ……あ、害は与えないから殺さないで!」


先手必勝で命乞いをしておく。マチは呆れた表情になる。


「何となくこいつは無害そう。今はまだ殺さないでおくよ」

「マチの勘はよく当たるからね。これからもずっと殺さないでください」


少し驚いた顔も可愛いな。


「それは念能力かい?」


いいえ、あなたたちのマンガを読んだから知っているんです。

なんて言えるわけない。


「そんな感じ」


意味ありげに笑っておくのが無難かな。
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