妄想天使
□妄想天使と打ち上げ
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未練たらしくアジトを後にするシエラ。
何、そんなに団長がいいわけ?
見る限り、団長に恋愛感情はない。興味は持っているようだけど、それは予知能力に対しての話。シエラ自体にはそこまで興味無いんじゃないかな。
「シエラってお酒強いの?」
「あんまり飲まないから分からない。シャルは?」
「あんまり強くないよ。弱い方だと思う」
「へー、意外だねぇ」
嘘だけどね。
「飲もうよ。初仕事終了祝い!」
「足引っ張っただけだけどね」
「そんなことないって、ネガティブは良くないよー。さぁ着きました!」
そういや30分前まで倒れてたけど、シエラ大丈夫かな?
暖簾を分けてドアを開け、中に入る。店内は茶色をベースにした落ち着きのある雰囲気だ。個室を選択し、奥に進む。
「とりあえず生ひとつ。シエラは?」
「私も」
「え、大丈夫?」
意外。
「最初の一杯だけ」
「んじゃ生ふたつ」
あとはサラダや肉を適当に選んで注文しておく。生中とサラダがすぐに運ばれてきて、乾杯だ。
「仕事お疲れ様! 乾杯っ」
「かんぱーい!」
ぐい、と結構な量を飲むシエラ。強いのだろうか。
「いい飲みっぷりだね」
「久しぶりだもん、美味しく感じるよ。……ごめん嘘、美味しくないから早くカクテル頼みたいんだ」
そういうことか。無理しなくていいのに。
数分で二人して一杯目を空け、また注文した。