妄想天使
□妄想天使と鬼畜天使
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「で、どうなの特訓の調子は?」
びっくりした。驚いた。驚愕した。あ、全部同じ意味か……。シャルは察したように言葉を続ける。
「フィンクスが言ってたよ。シエラのこと見てやってくれ、って。仲いいんだね」
「言わないでって言ったのに……!」
「うん、クロロには言わないよ」
そんな。二日目にして、あっさりシャルにバレてしまった。恐るべし蜘蛛の絆!
「オレが指導してあげるよ。楽しみだなぁ、シエラをいじめ…強くするのが」
「いじめ!?」
爽やかに笑うシャル。可愛いな。笑顔が黒いよ、残念だよ。
「とりあえず、纒を維持出来るようになろうか。ご飯食べてる時も寝てる間も、息をするくらい当たり前のように出来るようになろう」
「はーい」
「オレってSなんだよね。いい?」
「はーい。……え? 今、なんて?」
「シエラを強くするためだから、我慢してね」
前もって用意してくれていたのだろうか、メモを渡された。
腹筋100回、腕立て伏せ100回、スクワット100回×5セット
「とりあえず基礎体力をあげようね。二日毎に50回ずつ増やすから」
「シャルナークさん鬼畜……! 私ムキムキになっちゃうよ?」
「それはちょっと嫌だね」
「でしょー」
「まぁ我慢してよ。はい、さっさとやる」
私は仕方なく筋トレを始める。
……開始後五分、私は半泣きになっていた。
やばい、足がぷるぷるしてきた。こんなに体力無かったんだね!
「き……きつい……」
「本気で言ってる?」
シャルナークは真顔だ。信じられないものを見るような目付き。
「話にならない。よかったね、念使えて」
「ははは……」
厳しい! ヘラヘラしていると、またしても真顔に。
「シエラ」
真剣な瞳に思わず目が逸らせない。
「オレ達は、蜘蛛。俗に言う一般人じゃない。多分、ここに来る前のシエラとは全く異なる生活をしているし、常に危険がつきまとう」
「うん」
「出来る限り守るけど、限界がある。……傷ついてほしくない。なんか分かんないけど」
なんだか微妙な感じでシャルが言う。……そっか、心配してくれてるんだ。
「うん」
ちょっと嬉しいな。ちょっと頑張ろうかな。
「ありがと、シャル」
妄想天使と鬼畜天使
(鬼畜なの? 優しいの?)