妄想天使
□妄想天使、成長中
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そいつの名前はシエラ。
気づいたら居て、なんやかんやですっかり馴染んでいる。
数ヶ月経った今、メンバーでも何でもないシエラがそこに居ることに違和感はない。
「マチ! この服どうかな?」
「似合ってるよ。アタシほ好きじゃないけど」
「本当!?」
花柄のワンピースは女の子らしく、シエラを一層可憐に見せる。何でそんなに気合いが入っているのか聞くと、なんでも団長と一緒に出掛けるらしい。
「今日はクロロとデートなんだぁ」
「何回も言わなくていい」
シエラはヘラヘラと笑いっぱなしだ。
「あ、マチ。ヒソカから連絡来た?」
「ヒソカから? 何でだい?」
「そっか、まだなのか。いつ頃か分かんないけど、そろそろ連絡来る頃だと思うよ。怪我の治療してくれ、って」
怪我……? ああ、そういえば予知能力があるんだっけ。
「わかった、覚悟しておく」
「相変わらず嫌いだねぇ。あ、クロロだ!」
一変して花のような笑顔になるシエラ。
「準備が早いな」
「今準備できたところだよ」
はにかむシエラと微笑む団長。お似合いだ。
「行こうか」
「うんっ。マチ、いってきます」
ちぎれそうな勢いで手をふり、クロロの腕に手を絡ませてシエラは出ていった。
「……で、あんたは何で絶してるんだい」
「バレてたか」
「団長も気づいてた。知らないのはシエラだけだよ」
シャルは苦笑いしながら姿を現す。
「いいのかい、行かせて」
「うん。約束だし」
約束?
どういうことか聞くと、シャルは遠い目で話し出した。