愛とは

□新しいオモチャ
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なかなかの青い果実だった。
そんなことを思うヒソカは、興奮を抑えきれず街を放浪していた。ふと目に留まったきらびやかなネオンの店。導かれるように足を向けた。

ドアを開けると、すぐに女性が迎えた。ヒソカの奇抜な格好を見てか、異様な空気を感じとったのか、一呼吸置いてから甘い声で挨拶をする。

「いらっしゃいませぇ。初めてのひと?」
「そうだね☆」
「じゃあ、私がお相手になってもいいかな?」
「うん、よろしく頼むよ◇」

誰でもよかった。早く持って帰って、食べて処分したかった。しかし、店内で様子を見ることに決めた。何故だろう、いい予感がするのだ。
奥に連れられ、ソファーに腰かける。

「あたしはリサ。お兄さんは?」
「お兄さんのままでいいよ◇ ねぇ、あの子はなんていう名前?」

ヒソカは目の前の女性……リサには目もくれなかった。彼女じゃない。この美味しそうな匂いはどこから来ているのだろう?

「彼女でもないね」
「……お兄さん、何しにきたの?」

彼女は不満そうだ。

「この店のNo.1は誰なんだい?」
「えーと、あの子だよ」

なるほど。人目を惹く美しい容姿だ。笑顔も可愛い。しかし違う。彼女ではない、という確信に近いものがあった。

「おや☆」

思わず笑う。びびっときた。どうやら、あの子のようだ。
どこか不思議な、そして妖艶な雰囲気を纏っている。

「あの子は?」
「ユーリちゃんって名前だよ」

笑顔だが、何故か敵意を感じる気がする。

「一応、No.3だよ。No.2と微差」
「なんで苦笑いなんだい?」
「え……」

リサは驚いていた。客の前では感情を押し殺し笑顔を作っている。こういう職業ならそれが当然だし、バレてはいけない。
何で、という顔をしているため、ヒソカは答える。

「嘘つきは嘘に敏感だからね☆」
「……お兄さん凄いね」

リサの作り笑いは消え、一度心から苦笑いする。しかしまた、笑顔に変わった。ほぼ完璧な笑顔だ。ヒソカ以外にはわからないだろう。

「あの子、お金のことしか考えてないから」
「どういうことだい?」
「……これ以上は内緒。企業秘密だよ」
「じゃあ、これあげるから◇」

財布から一万円札を三枚ほどとりだし、テーブルの下でリサに握らす。リサはそれをすぐに自分のポケットに滑り込ました。

「お兄さんやり手だね」
「でしょ◇」
「……あたし達はお店で飲んで打ち解けてからアフターに行くんだけど、ユーリちゃんはすぐにアフター。というか、アフターしか行かないんだよ」
「それは、お客さんにとったらお手軽な子だね◇」
「そう。お金さえ掛からなければ、ね」
「お金……」
「手繋ぐの五千円、キス一万円、って感じだよ。お店の外でユーリちゃんがやり取りすることだから、何円稼いでるか分からない。あたし達は稼いだ五分の四を渡すって契約してる。ユーリちゃんがそれを守ってるのかは知らないけど、お店に渡すお金は並みじゃない。だからNo.3なんだよ」

ヒソカはユーリを見つめた。奥のテーブルに一人で座り、携帯を触っている。

「ありがと、いってくる」
「……金持ちは変わり者が多いなぁ」
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