愛とは
□恋人とは
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ボクは一体どうしたんだろうか。なんで絶して後をつけてるのかな?◇
そう、ヒソカは尾行していた。
挨拶もせずに出ていったユーリに気づかず寝ていたフリまでして。
「お待たせ」
昨日と同じテンションで、ユーリは男性に微笑みかけた。沸き上がる不快感。
ぱっとしない男のくせに、とヒソカは思った。
「君とご飯を食べるのは久しぶりだなぁ」
「そうだね。ごめんね、忙しくて」
「No.3だから仕方ないさ。本当は俺だけを見てほしいんだけど……」
「お仕事はやめられないよ」
「分かってるさ」
二人は高そうな建物に入っていく。こんな時間からやっているとは。無論ヒソカもバレないように着いていく。
二人は世間話をしていた。和やかなムードだ。思いあっているカップルのよう。
ぐっ、と拳を握りしめる。知らない話題、知らない人の話ばかりだ。
二、三時間ほど話したあと、二人は笑顔で別れた。ヒソカは絶をやめる。
「やぁ◇」
「……ヒソカ、着いてきてた?」
「偶然だよ」
「絶、してたよね」
「!」
驚いた。本当に驚いた。
この子は念能力者でもないのに念を知っているのか。
「私能力者だよ、意外と」
「でも、纏は……」
「わざと。わざとちょっと垂れ流して一般人みたいにしてる。変なのに見つかったら、私弱いから殺されちゃう」
「……くっくっく。面白いねぇキミは。今までにないタイプだよ☆」
なるほど。いや、なるほど。ユーリは青い果実だったのか。なんという喜び。
「ヒソカ強いでしょ」
「そんなことないさ」
「……ふーん」
興味無さそうにユーリはヒソカから目を逸らした。