愛とは
□四日目
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朝。やはり連絡はない。心配になり、電話をかける。コール一回目で反応があった。
「もしもし♢」
『もしもし、か。殺人鬼のくせに』
見知らぬ男の声。携帯越しにも関わらず殺気を感じた。
「キミは?」
『最近お前に殺されたやつの兄だ』
「へぇ♢」
『あいつはいいやつだった。ハンター試験にも合格したし、才能もあった』
「もしかして青い目をした背の低い男の子のお兄さんかな」
『そうだ!!』
ああ、あの出来損ないの青い果実ね。
『いいか。今からお前の元に男を送る。抵抗せずに大人しく着いてくるんだ。さもなくば......』
「分かってる。早くしてよ♢」
かなり乱暴に携帯がきられた。
いけないいけない、ちゃんと丁寧に扱わないとユーリの命がかかってるんだからね。
「ヒソカ、だな」
気配もなく男は現れた。青い目だ。
「似てるね。キミもボクが殺した子の兄弟?」
「黙って着いて来い」
男は怒りで震えていた。
怒りとは恐ろしい。敵の力量も測れない程己を見失ってしまうのだから。
ヒソカはやれやれと思いつつ大人しく男に着いていくことにした。
「兄貴。連れて来たよ」
「よくやったな」
着いたのは工場の跡地のような寂しい所だった。よく電波が届いたものだ。
青い瞳の男達はヒソカを睨みつける。
「ボクは謝ればいいのかな」
「ふざけるな! お前には命で弟に償ってもらう!!」
「とりあえずユーリは何処なんだい?」
「そんなことは後だ。お前を殺してから女は解放してやるよ。兄貴」
「ああ。やってやろう!」
兄弟は念使いのようだ。二人して攻撃を仕掛けてくる。抜群のコンビネーション。しかしヒソカはやすやすと避ける。
「当たらなきゃ意味ないよ☆」
「くそっ......がっあ!!」
「兄貴!」
ヒソカの腕は兄の腹を貫いていた。足はガクガクと震え、吐血する。
「今なら念で止血すれば間に合うかもね。早くユーリを出してくれる?」
「や......めろ、言うな......!」
「このままじゃお兄さん死んじゃうね♢」
「............ここから200メートル離れた赤い小屋に閉じ込めてある」
「どうも☆」
ヒソカは腹から手を抜いた。支えを無くした兄の体は倒れこむ。弟は駆け寄った。
「なんで......言ったんだ!」
「オレはもう大切な家族を失いたくない。一人は嫌だ。嫌なんだ、兄貴......」
「なら二人一緒の方がいいね。いつまでも仲良くしてね☆」
ヒソカは笑い、トランプを投げた。油断していた二人は呆気なく絶命した。
「ユーリに手を出しておいて生かす訳無いだろう?」