short : etc.

□キミは弱い、ボクも弱い
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似ていること。同じであること。人は皆、自分だけ周りから浮かないように、真似して真似されて生きている。
皆と違う者が辿る道は二つ。成功してスターになるか、嫌われて一人ぼっちになるか。





 (キミは弱い、ボクも弱い)





私は、彼らに言わせると変わっているらしい。専ら後者の方だった。理由は霊が見えるからだ。小さい頃から見えていたためなんとも思わなかったが、他の者からしたら異常なことだという。
それを聞いてから私は自分がシャーマンであることを口にしなかったが、悪い噂が広まるのは早いもので、私は瞬く間に一人になった。

仲のいい友人ができることもなく、なんの思い出も出来ないまま中学に進学した。やり直したい、友達がほしい、という気持ちが無かったと言えば嘘になる。しかし、それ以上に面倒臭かった。
義務教育を終了した後、私はこの特質を活かして霊媒師になろう。職には困らない。どうして義務教育は9年もあるのだろう?

私は全てに退屈していた。
中学校もつまらないものになる、そう思っていた。

想像通りの退屈な日々。しかし私は、モノクロの世界で色を見つけた。褪せた世界のなかで、彼だけが鮮やかだった。

 朝倉 葉。

目が、合う。
直感で分かった。





(ああ、彼も)
(“変わってる”んだ)
   

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