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□愛するということ
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ナマエが死んだそうだ。
ヒソカから聞いた。
ナマエはオレの恋人で、ヒソカはナマエが好きだった。



「そう」


「そう、って。それだけかい? キミの恋人だろう」


「そうだよ。ていうか何、オレはヒソカの期待通りの答えを言わないといけない訳?」


「ちなみにボクが期待する答えって?」


「知らない。お前の態度でオレの反応がつまらないって思ってること分かっただけだし。で、何。用が済んだならもう帰って」


「そう言うなよ。実はナマエの死体持ってるんだけど。キミに任せてもいいかな」


「何でヒソカが......まぁいいや、勿論預かるよ。じゃあまたね」



ヒソカを無理やり帰したあと、オレはナマエの死体が入っているであろう大きな袋を見た。中を覗くと、まるで眠っているかのような穏やかな表情でナマエは死んでいた。

それをそっと見つめ、冷たくて硬い唇に優しく触れる。
何度も重ね、優しい言葉をくれ、愛を囁いたこの唇が開くことはもう二度とない。



「なんで死んだの、ナマエ」



死んでなんかないよー、実は眠ってただけでした!
とおどけて返してくれるかと少し期待したが現状は変わらない。そこにナマエの死体は転がったままだ。


......誰に殺されたの?
とは聞けなかった。予想はついている。きっとヒソカだろう。だからこそあいつには聞けなかった。もしも肯定の言葉を聞いてしまえば、冷静でいられる自信がなかった。



「オレはナマエを守れなかったね」



一体キミに何をしてやれたというのだろうか。
キミの優しい言葉には視線で返し、思いやりのある行動には気づかないふりをした。それなのにいつもナマエは笑っていた。

あなたって本当に頑固だね。そんなんだから誤解されるんだよ。
そう言っていたキミは、きっとオレの胸の内を全て見透かしていたんだろう。



「……好きだよ」



一度も言ったことのない言葉をナマエの死体に向けて呟いた。その目は無論開かない。そっと口づけをしたが、固かった。舌を差し込もうとしたが当然無理な話。



……あぁ、オレはナマエが好きだったんだな。

今更分かった。

今更分かったって、遅いんだよ。


ふと頬に冷たいものを感じた。
触ってみると水分だった。
おかしいな。
雨なんて降っていないはずなのに。






愛するということ




キミが教えてくれた
 

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