愛とは
□二日目
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さすが有名な遊園地、人で溢れかえっている。
ユーリは欠伸を噛み殺した。昨日はあの後店の方に顔を出し、得意先の相手だけしたため寝不足気味だ。
「ねぇヒソカ。人は殺さないでね」
ヒソカはユーリをじっと見たあと、嘘っぽい笑みを浮かべた。
「今日はデートだからね♢」
どっちともつかない返事。イエスなのかノーなのか、わからない。判断に苦しむ。
「早くアトラクションに乗ろうよ」
差し出された手。指は細く、それでいて大きな掌。
彼はきっとこの手で何人もの、或いは何十人、何百人もの命を傷つけ奪っているのだろう。
「そうだね、楽しみだなぁ」
その手をぎゅっと握りしめた。血に塗れた手に、自分の汚い手を重ねた。
案外お似合いなのかもしれない。殺人鬼と、人間を信じきれない哀れな人間。
そんな二人が遊園地だなんて。
「何を笑っているんだい?」
「笑っちゃうよ。だってここは楽しい夢の国だよ」
そう、夢を見よう。今だけは何もかも忘れて、楽しい時間を過ごしたい。