愛とは

□二日目
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最初は空いているアトラクションから攻めた。シアター系や、おとぎの国を楽しめる乗り物。やはり人気なのはジェットコースターのようだ。

ヒソカは何だか他の客とは違った。
コーヒーカップやメリーゴーランドといった、そういう甘いものには誘ってこない。お化け屋敷に入ってキャー、なんていうのも期待していないようだ。

観察されている。そう、これが1番しっくりくる。どんなアトラクションに乗っても、ヒソカに見られているような気がする。視線が鬱陶しい。

「なに見てるの?」
「君が可愛いからつい、ね」

そんな言葉では私は落ちない。むしろ吐き気がする。
ユーリはそう思ったが勿論口には出さない。

「せっかくだからジェットコースター乗ろうよ」
「そうだね☆」

視線を感じること以外は問題はない。深く突っ込みすぎない距離感は心地いいとすら感じる。嘘っぽい笑みは自分を見ているようで親近感が沸くし、容姿だってまともにしたらカッコいいと思う。

けれど、観察するのはユーリの専売特許だと思っているため、不愉快なのだ。
きっとヒソカは頭がいい。観察されて不愉快に感じるのは、きっと彼が正しくユーリという人間を見極めてしまうだろうから。


ようやく順番がきて、ジェットコースターに、乗れることになった。
頂上へ向かう時のドキドキ感、天辺でゆっくりと下降を始めるその瞬間。これが一番好きだ。これから起こることへの期待で、胸が踊る。
そして風に乗る。空気を切り、景色が一気に後ろへと流れていく。風を感じ、浮遊に身を任し、ゾクッと体を震わせる。
徐々にスピードが落ちていき、そして止まる。

怖かったけど楽しかったね、と興奮しながら言うカップルを見ながら、ユーリの気持ちは冷めていた。

ジェットコースターはまるで自分達のようだ、とユーリは思う。
出会いはまさに頂上へ向かう時だった。そして今はスピードを上げ、下降している。楽しい時間の真っ最中だ。
そしてスピードは落ちていき、いずれ完全に静止するのだろう。




二日目
(きっと私は嫌われる)
(嫌われなくちゃ)
(幸せになったらダメなんだ)
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