愛とは

□四日目
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どうやら弟が言っていたことは事実だったようだ。確かにユーリの気配を感じる。感じるがまま先に進めば、柱にくくりつけられているユーリの姿があった。

「ユーリ!」

服装は酷く乱れている。ヒソカがプレゼントした白いワンピースは、見るも無惨にボロボロだ。所々破れているし、血のような赤も滲んでいる。
気絶しているのか、返事はない。ヒソカは軽く肩を叩いてみた。

「大丈夫かい?」
「っい......!」

顔を歪め、ユーリは呻いた。慌てて謝る。

「あ、ヒソカだ。来てくれたんだね」
「そのキズ、あいつらにやられたのかい?」

もっといたぶって殺せば良かった。
殺気立ちながらユーリを拘束している縄を解く。

「これ? これは違うよ。それに、ほら」

ユーリは手にオーラを集中させた。うっとりしてしまうほどに美しい光。その光が広がり、ユーリを包み込む。そしてキズがじわじわと消えていった。

「はぁ。痛かった」
「凄いね。強化系......いや、特質系かな」
「内緒。このキズはね、お客さんにやられたやつ。SMってやつだね。そのプレイの途中にあいつらが乱入してきて、いつの間にかここに居たって感じだよ」
「......あいつらの狙いはボクだった。キミが危険な目に合ったのは、ボクのせいだ」
「そうなんだ」

ユーリは気にしてないように言った。うーん、と伸びをする。首筋に傷が残っていることに気づく。

「ああ、時間経ってから能力使ったからかな? そのうち治るよ」
「キミは女の子だ」

もしも体にキズが残ったら......。
ヒソカは後ろからギュッと抱きしめ、首筋にキスを落とした。

「大丈夫だよ。ありがとう」

ありがとうだなんて。自分には言われる理由が無いのに。

「気にしなくても大丈夫だよ。でも今日はもう疲れちゃった。だから私の家でゆっくりしない?」
「いいね♢」

冷たいようでいて、ユーリは本当は優しいのかもしれない。いいことのようで良くないことだ。他人に優しい分、自分を大切にしないから。
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