長編

□第三章
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「で、アンタがアリスのFellowだって事は解ったが一体何処から入ってきたんだ?」

部屋の真ん中にアリスが寝ている布団が在りその襖側に政宗が座り、その反対に熾羅が座っていた。

そして政宗がふと気付いた疑問を熾羅に投げ掛けた。

「そこの庭にある池からです。」

「What do you mean?(どう言う事だ?)」

そして熾羅が更に聞き返した。

「では貴方はどうやって城に入ったり屋敷に入ったりしてますか?」

「そりゃあ、GateとかEntranceからだろ?」

「その様に私達も鏡の様に姿が反射される程澄んだものなどから何処かへ行き来できるのです。」


熾羅が例を用いって説明したが政宗には全く理解できなかった。

「ですから私達は鏡の様に姿が反射される程澄んだものから他の世界へ移動したりできるのです。」

「と言う事はアンタやアリスは他の世界へ行ったりできるってことなのか?」

まだ頭に?が浮かんでいる政宗であったがなんとか熾羅が言っている事が理解できた。




『政宗、貴方に頼みたい事があるの…』

それまで黙って聞いていたアリスだったが遂に口を挟んだ。

「何だ?オレに出来ることなら何でも言え。」

『私達を此処で仕官させて、そして私に政宗の血を分けて…』

仕官させて欲しいと言ったまでは良かったが血を分けてと言った瞬間政宗の表情が強張った。

「仕官することについては構わねぇが、血を分けてくれっててのはどう言うことだ?」

アリスが熾羅と目配せをした。そして頷くとアリスが自分の手の甲の肉を噛み千切った。

『っ…!』

そしてアリスは自分が噛み千切った手の甲を政宗に見せた。

その手の甲から出た血は指を伝い布団を汚した。

暫くすると手の甲の傷がじわじわと塞り始めた。それと共に布団を汚した血のあとも消えて行った。

血が傷口に吸い込まれる様に戻った行くとアリスが噛み千切った手の甲は元の姿に戻った。

政宗はその手の甲をずっと凝視していたそして妖術の様に修復されて行く手の甲を見て政宗はこう言った。

「Impossible ...これは一体どう言うことだ…?」

政宗がアリスの手を取り、傷口を指で触った。

『私達は普通の人じゃないわ…貴方達の様に急所を傷付けられただけじゃあ死なないのよ…そして貴方達より自己治癒力、身体能力が遥かに高いの』

『でも幾つか欠点があってね…その一つが他の者から血を貰い力を得なければならないの…』

「だったら昨日の傷はもう治っているのか?」

アリスは何も言わず政宗に自分の腕にある赤黒い痣を見せた。

『この傷は切り傷や打撲と違って魔力を以って付けられた傷よ…だから今みたいに直ぐ治らないのよ。』

「って事はオレのBloodをアンタにやればその傷は治るって事か?」

政宗がアリスの腕にある痣を摩った。

「ok…だがその代わりしっかり働いて貰うぜ!」

政宗が威勢良く言うと自分の着物の合わせを開き、首を晒した。

『政宗…有難う。』

するとアリスが政宗に抱きつく形で首に顔を埋めた、そして味見をするかの様に政宗の首筋を舐めた。

「(Shit!...これはやばいな…)」

政宗が己の欲望と戦っていると激痛が走った。アリスが噛んだのだ。そしてアリスはそこから溢れる鮮血を残さず舐め採った。

すると政宗に傷口から甘い痺れが広がった。その痺れに政宗が眉を寄せ歯を食いしばった。

「っ…!」

政宗の内側から湧き上がる欲望と疼きを必死に抑えていた。

そして、それまで鮮血を舐めとっているだけだったアリスが傷口を甘噛みする様に口に含み、舌で唾液を傷口にたっぷりと馴染ませた。
すると痛みが引き、首の傷が塞がっていった、それと共にアリスが政宗から離れた。

『やっぱり力がある者の血は良いわね…。』

そう言ってアリスが着物の裾で口を拭った 。



「ハァ…ハァ……ッ!」


アリスが政宗をじっと見つめる中、政宗は上がった呼吸を鎮めようとゆっくりと深呼吸をし始めた。










暫くすると熱が引いていった。




「…ecstasyを感じるんなら先に言え…。」

『貴方を試したの、血を飲まれた時、欲に流されないかを。』

そして着物の裾を捲り上げ政宗に腕を見せた。

アリスの腕の痣がどんどん薄くなっていった。

『ほら…これが血の力よ。』


と言うと、アリスは着物を正した。

そして立ち上がり、伸びをした。

『ところで、私の服は何処?』

アリスが部屋の中を物色しながら政宗に聞いた。

「アンタのClothesなら女中に洗わせてるぜ。取って来てやるから待ってろ。」


障子を開くと太陽は西に傾き、日の光が淡い橙色になっていた。


そして政宗が部屋を出るとアリスも後ろから付いて来た。


その事に気付いた政宗が後ろを振り向くと周りをキョロキョロと見回しながら付いて来るアリスがいた。

そして政宗が止まった事に気付かかなかったアリスが政宗の背中に衝突した。

『っ⁈………何で止まったの…。』

不意に衝突したのでアリスは鼻の頭を摩りながら政宗に言った。



「何でアンタが付いて来てんだよ!待ってればいいだろ!あと熾羅は置いてきて良いのか?」


『これから此処で生活するんだから付いて来たっていいでしょ。それに熾羅ならもう何処かに行ったわ。』


アリスが話しながらも他を見回しているままだった。


「仕方ねぇな…ついでに城ん中案内してやるから付いて来い。」


政宗はそのまま歩き出した。そしてアリスもその後を付いて行った。
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