小説

□始まり
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「キレネンコさん」

「・・・?」



いつかこの日はくるとわかってた

でもこんなに早いと感じるなんて思わなかった



「僕、明日出所なんです」



驚くキレネンコさんの顔が見える

泣かないと決めたのに どうしよう 泣いてしまいそう



「キレネンコさんと面会はできないって・・・カンシュコフさんに言われて・・・」



声が震える

もう会えないんだと思うと

やっぱりダメだ 涙が止まらない



すると目の前にはキレネンコさんがいて、

ちゅ、と軽く触れるだけのキスをしてくれた



「俺と一緒に居たいか?」

「・・・ずっと一緒に・・・居たい・・・です・・・」



泣きながらもそう答えると、キレネンコさんは立ち上がり、




ドゴォォォォン!!




鳴り響く音、崩れていく壁。

一体なにがなんなのかわからなかった。けれど、

キレネンコさんの一言で全てを理解した。



「ならついて来い」



このままついていったら脱獄犯として一生追われる身になるかもしれない。

捕まって、今度こそずっと、離れ離れになるかもしれない。

でも、それでも。



「・・・はいっ!!」



僕は険しい道を選ぶよ

少しでも長くキレネンコさんと過ごす事ができるのならば。

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