小説

□自覚?
1ページ/1ページ



ここは警察署だ

今俺の目の前には、街中をのん気に歩いていた脱獄犯がいる。

とりあえず刑務所へ送るため

別行動だったコプチェフに連絡をしたがまだ来ない。

・・・嫌な沈黙が続く。



「あの・・・民警さん、僕、どうなっちゃうんですか?」



先に口を開いたのは脱獄犯・・・いや、541番だった。



「まぁ刑務所行きだな。それと俺の名前はボリスだ。」

「え、あ、はい!すみません・・・そう、ですか・・・」



確かめのような形で質問したのだろう

やっぱり、というように肩を落としていた。



それにしても、こいつは何故あの化物のようなやつと一緒に行動しているのだろうか。

こいつが以前捕まった理由は知っている。

こいつは明らかな善良市民だ

脱獄した理由は知らないが・・・。



・・・聞いてみるか・・・?



「おい」

「は、はいっ!?」

「なんで脱獄したんだ?」

「え・・・?えっと・・・」



急な質問だったからだろうか 戸惑っている



「それは、あの・・・キレネンコさんと離れたくなかった・・・ので・・・」



・・・は?キレネンコ?04番のことか?

何を言ってるんだ?あの凶暴な奴と、離れたくなかった・・・?



「な、なんでもないです!忘れてください・・・!」



顔が赤くなっている 本心・・・なのか



この感情は、なんだ?  嫉妬に似た・・・いや、これは嫉妬・・・?

いやいやいやいやいや、待て こいつは男だぞ?!

とりあえず平静を装って・・・!



「あ・・・あぁそうか 色々事情があるんだな」



よ、よし。これでよかっ・・・ったのか?いやいい、これで普通なはずだ。



「い、いいえ!別にそんな事情はn「ボリス!!」



541番の声を遮って、コプチェフがやっと来た

だが・・・、なんでこんな焦って・・・?



「今すぐ逃げろ!!」



は?こいつ何言って・・・



ドォォォォォオン!!



壁がぶち壊れて、さらに飛んでいる部下まで見える

なんだこれ

風になびく赤い髪の毛がうっすらと見えた。







「ボリス起きてー」



ハッ、と目が覚める どうやら気絶していたようだ



「コプチェフ?一体何が・・・」

「04番が暴れていったんだよー 多分、541番探してたんだね」

「な・・・っ!!言いたくねぇが、さすがマフィアの元ボスだな・・・」

「あと、勝手に手ぇ出すんじゃねぇって541番を担いでいっちゃったよ」

「はぁ!?なんで541番を・・・」



そこまで言って、言葉はとまった。

理由など、わかりきっている。

きっと、04番にとって541番は『特別』なのだろう。



「なん・・・でもねぇ・・・」

「あ、そうそうボリス!」

「あ?なんだ?」

「うかうかしてると541番、俺がとっちゃうからね?」

「・・・!!」



こいつもかよ・・・。

そういえばこいつ前に「恋に性別は関係ないっ☆」とか

ほざいてたな・・・



やめだやめ。そんな事考えるのもめんどくせぇ。

とりあえず俺はこのつぶれた警察署をどうするか考えることにしたのだった。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ