小説

□小さな
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今、僕には悩みがある

でもそれは本当に小さな悩み。



だからこそ、キレネンコさんにバレないよう、

いつも通りに過ごそうと頑張っていたはずなんだけど



「お前、なんか悩みあるだろ」



さらりとキレネンコさんはそう言った。

・・・なんで?普段と同じ行動をしていたはずなのに。



「なにを言ってるんですか?悩みなんて」

「お前は嘘をつくのが下手すぎんだ。」

「・・・!」

「悩み、あるんだろ?」



しらばっくれてみてもキレネンコさんには無駄みたい。

どうしてわかったんだろう

どうしてこんな時に、そんなに優しい顔をするんだろう

出てくるのは疑問ばかり。



キレネンコさんはずるいなぁ・・・。



「しょうもない、悩みですよ?」

「いいから言え」

「・・・最近、夜中にふと目が覚めて、それから眠れないんです。」

「原因は?」

「原因かどうかはわかりませんが、思い当たる事なら・・・。」

「それでいい、言え」



いつもと変わらず淡々とした言い方でキレネンコさんは言う。

思い当たっている事、言ってしまおうか

・・・・ため息つかれませんように。



「すごく不安なんです、最近出来事が色々と重なって・・・。」



そんな事かと呆れた目で見られるかと思いきや、

ふむ、と何かを考えているみたい



ほんの少し時間が経った後キレネンコさんは



「ようするに、不安じゃなきゃいいんだな?」

「え・・・・えっ!?」



そう言って急に僕を抱きしめ、そのまま横になる。



「あ、あの・・・」

「うるせぇ黙って寝ろ」

「こっ、この状態でですか!?」

「・・・。」



当たり前だ、何か問題でも?という声が聞こえてきそうな表情をうかべている

ほんとにこの状態で寝るんですね、キレネンコさん・・・



でも



「キレネンコさん」

「?」

「ありがとうございます」





今日は今までで一番良い夢が見れそうです。

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