頂き物部屋

□嫉妬もたまにはいいもんだ
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「十四郎なんか大嫌いっ!!」

十四郎と喧嘩した。

きっかけは些細なことだ。

十四郎とデートの約束をしたのに、仕事で中止になったのだ。

それは仕方がない。

十四郎の仕事はそう簡単には終わらない。

だから、今度埋め合わせをすることで許したのだが。

時間が空いた為、外をブラブラした時。

十四郎と知らない女性が一緒に歩いている姿をたまたま見かけたのだ。

そして、冒頭に戻る。

「十四郎なんか大嫌いっ!!」

俺はそう叫ぶ。

隣に居た女性は酷く驚いていたのだが、そんなのはどうでもいい。

「おい銀時っ!!」

十四郎が俺の腕を掴む。

だけど、十四郎の顔を見たくなくて、すぐさま腕を振り払う。

そして、猛ダッシュでその場を離れる。

「銀時!!」

背後から十四郎がそう叫ぶ声が聞こえてくるが、お構いなしに駆ける。




「ハァハァハァ……」

一体、どれぐらい走ったのだろうか。

ふと後ろを振り返ってみると、そこには誰も居なかった。

……ははっ、俺、何を期待していたんだろう。

十四郎が俺を追って来るとでも思ったか?

そんな考えが一瞬でも浮かぶだなんて、本当に女々しくなったな、俺も。

「……はぁ」

気落ちしていても仕方がない。

帰って、ヤケ食いでもするか。

新八には『全く、家計が厳しいんですから!!』とか怒られそうだけどな。




万事屋――。

ガララ!!

「ただいまぁ……」

そう言いながら扉を開き、出迎えてくれたのは新八――。

ではなく、十四郎だった。

「お帰り、銀時」

「なっ……」

あまりの突然さに、俺は言葉を失ってしまう。

「ガキ共は一万円あげて家を追い出したぜ。あいつら、喜んで出て行ったぜ」

「なっ…………」

「それより銀時」

十四郎は俺の首に腕を回し、こう告げる。

「……俺が浮気しているとでも思ったか?」

「……………!!」

図星だ。

だけど、それを知られたくなくて、俺は黙り込んでしまう。

「顔、赤いぞ?」

「……っ!!」

「安心しろ。こう見えても、俺は一途だからな」

そう十四郎は言い、チュッと軽く俺の唇にキスを落とす。

「さっきの、女は……」

「ああ、さっきのな。総悟だよ」

「えっ……!?」

「仕事上、総悟を女装させる必要があったんだ」

……恥ずかしい。

俺は、沖田君に嫉妬していたのか。

ああ。穴があったら、今すぐ飛び込んでしまいたい。

更に十四郎は続ける。

「総悟、凄く驚いていたぞ」

そりゃあそうだろうな。

でも、これって十四郎の仕事を邪魔したということになるのかな。

そう思い、急に申し訳ない気持ちでいっぱいになった。

「ごめんね……仕事中だったんでしょ」

「いや気にするな。総悟に任せておいたから」

ぐいっ!!

突然、十四郎が俺の顎に手を当てる。

そして、無理矢理十四郎の方向へ向けさせた。

「ん、んんっ……」

舌が絡み合う。

深いキスの合間に漏れる俺の声。

「はぁっ……」

十四郎が離れ、ようやく息苦しさから解放された。

息を整えていると、下半身から何やらカチャカチャと音がする。

気になり、下を見てみると――。

「……ちょっと、何してんのぉ!?」

十四郎が俺のズボンのチャックを下げようとしていた。

「入れてぇ……慣らしていないけど良いよな」

「えっ……ああああっ!!」

背後から体の奥深くまで、火傷しそうに高ぶった十四郎のものが突き刺さる。

「ん、んあっ……」

何度も強引に出し入れさせられ、繋がった場所は熱を持っていた。

「とうしろ……」

俺は懸命に名を呼ぶ。

「……痛いか?」

十四郎の問いに、俺は首を横に振る。

「……そうか」

はぁ、と十四郎は耳朶に熱い息を吹きかけてきた。

煙草の香りのする低い声が、鼓膜を擽る。

「や……ああ、も……っ」

「いいぜ……一緒にな……」

一際強く十四郎は突き上げた。

乱暴な動きにどくんと大きく脈動したのち、体がふわりと浮き上がるような感覚を覚える。

「あ……っ」

集まっていた熱の解放の訪れが、全身を弛緩させていく。

同時に、腰の奥でも熱いほとばしが生じる。

じわりと体内に広がっていく熱と、急激に萎えていく異物が、十四郎にもまた頂上が訪れたことを教えてくれる。

「う……は、あ……」

必死に息を整えようとするが、頭の奥が痺れているような感じがしていて、手にも足にも力が入らない。

「銀時……愛している」

「うん、俺も……」




坂田銀時、今日の格言。


『喧嘩した後のえっちは甘い』



**完**

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