頂き物部屋

□俺の弟は、
1ページ/2ページ

俺の弟は、可愛くない。


いや、男は可愛い奴なんてあまりいないと思うが、俺の弟は本当に可愛くない。


確かに小さい頃は可愛かった。
ニコニコ笑って引っ付いて「お兄ちゃん大好き」とか言ったり、ふわふわの頭を撫でられるのか好きだったり。

だが、今の弟は、ひねくれている。
帰ってくると無言で部屋に行くし、全く話そうとしない。とにかく無視だ。

会話をするのは2日に一回くらいなほど。

反抗期なのはわかるが、そんなに俺が嫌いか?

俺も弟も頑固だから、喧嘩したらもうお仕舞い。あいつは絶対謝らないからな。
多分、俺が折れてやるんだろう。兄だし。


そんな生活を続けていたある日、弟が今までの関係を覆す出来事が起きた。





夕方、俺は早めに帰って夕食の準備をしていた。

すると、銀時が帰ってきた。


「……」

いつもはスルーするのだが、さすがに目をやった。

銀時は雨に濡れてびしょびしょで、顔はどんよりとしている。

「ど、どうしたんだよ。風邪引くぞ?」

慌てタオルを銀時の頭にのせる。

「……」

銀時は俯いたままで、動かない。
顔を除き込むと、目が潤んでいた。

「…っ!?」

突然だった。
銀時が俺にもたれ掛かったのだ。

「ぎ、銀と、」

「うわあああああん!!」


銀時は泣き叫び出した。








「うぅっ…ぐすっ…くすん」

とりあえず、泣き止むまで俺は銀時の隣にいた。

「大丈夫か?」

「ぅっ…ん…」


嘘つけ。鼻水と涙でぐしゃぐしゃになってるぞ。

「どうしたんだよ、銀時。何かあったのか?」



「……笑わない?」

「あぁ」


一体何があったんだ。


「実はね」









「……ふ、フラレたんだよ」





「は?」
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ