flower 〜名探偵コナン 短編集〜
□待ちぼうけのbirthday
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(平次、遅いなぁ…。)
和葉は小さな喫茶店で平次と待ち合わせしていた。
しかし、平次は約束の時間が過ぎてもやって来ない。
まあ、いつものことだから慣れてはいるのだが。
(…それでもやっぱりイヤやわ。こんな風に待たされんの…。)
こう思うのは和葉が『大阪人だから』という理由では済まされないはずだ。
空いている目の前の席を見つめながらそう考えていると、
ブーッ ブーッ
ケータイのバイブ音がした。
このリズムはたぶん平次用の着信音だ。
「もしもし?平次?今どこに…」
「あー、和葉か?今事件の捜査しとってのう、悪いんやけど、今日はムリやわ。スマンな。ほな。」
「あっ、ちょっと平次?!」
どこにおるんよ、と聞こうとしたら電話は切れてしまった。
電話の無神経な音だけが響く。
(もうええわ。帰ろ。)
和葉は冷めたミルクティーを一気に飲み干した。