flower 〜名探偵コナン 短編集〜
□Voice is put on an electric wave
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時々、無性に恋しくなる。
アイツが。
毎日しゃべっているのに。
毎日彼女が作ったご飯を食べているのに。
毎日会っているのに。
姿が子どもというだけで、こうなるものなのか。
このどうしようもない、どうすることもできない気持ちは、江戸川コナンのものじゃない。
工藤新一が抱いているものだ。
工藤新一が、蘭の声を聞きたがっている。
工藤新一が、蘭に会いたがっている。
コナンはそんな自分に苦笑した。
こんなにも俺は、蘭を求めてしまうのか…。
時計は真夜中の12時11分。
シンデレラが、王子と別れて泣いた時間。
(泣いているシンデレラの目の前に王子が登場、ってか?)
アホらし。
泣いているシンデレラーー好きな人に会いたくてたまらないヤツは自分だろ。
また自分に小さく笑った。
コナンは傍でいびきをかいている小五郎を起こさないように、そっと部屋を出た。
ケータイと、赤い蝶ネクタイを持って。