企画
□クリスマスクライシス
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夜遅く路地裏をのろのろと歩く。
なるべくイルミネーションで彩られた通りを避けたい。
それでも目に入ってしまうと涙腺がゆるむんでしまう。
ああ、やだなあ。
ここで泣くとなんだか負けた気分になる。
さっきまで一緒に仕事をしていた同僚は、いそいそと帰り支度をしていたし、上司も帰ったら家族と少し遅くなったがクリスマスパーティーと少し浮ついてるのではと思われるような足取りで帰っていった。
みんな思い思いのクリスマスを過ごすようだった。
いいな・・・
俺は、家に帰りたくなかった。
ずっと仕事の予定じゃなかったのかい・・・
どうして今日に限って仕事が早く終わるんだい。
どうして・・・どうして・・・
本当はこんなはずじゃなかったのにな。
心なしか風がひどく冷たく感じる。
家に帰って暖まりたい!でも家中が暖まるまで時間がかかるな・・・
だって・・・
俺の家には、待っていてくれる人がいない・・・
-クリスマスクライシス-
俺とアーサーは付き合っている。
とはいっても俺たちは、国だ。
仕事は多いし、俺と彼の国は海を隔てたところにある。二人で過ごす時間なんてほぼ無い。
デートなんて片手で数えるぐらいしか無い。
最後に彼と会ったのは、2ヶ月前。
会議の休み時間に話したのが最後・・・
そんな俺たちだからある意味諦めというものもある。
だからこそ確実に会える日を本当に楽しみにしていた。
前からクリスマスイブにはアーサーが来てそのまま泊まり、二日間の休暇を一緒に過ごす予定だった。
なのに・・・
「今年もパトロールやってくれるだろ。
むしろやってくれ!!」
と上司に仕事をプレゼントされた。
全くもってうれしくないプレゼントだ!!
それもイラついてけど、アーサーにそのことを言ったら
「そうか。じゃあまた今度で」
で話が終わってしまったことだ。
もっとなにか言われるんじゃないかと身構えていたのに拍子抜けしてしまった。
ううん。
彼が、一緒に過ごせないことを簡単に受けて止めてしまっていることにショックだった。