小説:君想ふ。

□消えない思い、交わらない平行線。
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心苦しい。毎日毎日勉強に追われる。俺は何してんだろう。
何のためにこんなことしてんだろうか。わかっているのに、時々わからない。

そんな時、幾分か楽な気持ちにしてくれたのは、確かに彼女だった。
彼女を見ているとおごりではなく、俺のことを好きなんだとわかるためか、大丈夫、
俺はまだ大大丈夫だ、と思えた。

本当に感謝している。彼女と付き合っていなければ、こんな決心つかなかったかもしれない。
俺は俺に正直になってみよう。と。
彼女はもしかしたらわかっていたかもしれない。卒業式の日、あの子に会った。
相変わらず、きれいだと思った。俺の目にはきれいにしか映らなくなっているかもしれないな、
なんて思ったりしたほど。彼女に別れを告げることが、つらい。
だからと言って、この状況が“良い”わけではない。

俺がもし、あの子と付き合っていて、フラれたら立ち直れないかも。
でも、別れてしまうだろう。だって、すきだから。

一歩引いた愛が正しいわけじゃないと思うけど。

彼女の涙は、きれいだった。
俺の彼女、というのがもったいないほど、いい彼女だった。
俺が安易な答えを出したことが原因だけど、ちゃんと両想いで付き合っていける人と付き合った方がいい。

全ての恋は誰かの恋の犠牲の上で成り立っているからこそ、結ばれたとしたら、
幸せになんなくちゃいけねーんだ。それも、1つの考え方に過ぎないが。
一歩ずつ踏み出さなきゃ、なんにも得られない。

彼女の涙を見て、俺もジンときたのは秘密だ。
あー、俺も泣きてぇ。本当にゴメンな。ありがとう。
こんなに思ってくれて、俺が苦しむのはお門違いなことはわかっているんだが。

苦しい。付き合うってこんなに難しいことなんだな。
真剣に考えなくちゃな。本当、俺、アホすぎだな。

「別れたっつても、高校違うし連絡先も知らねぇしな」
何をどう、頑張ろう。アド聞くなら直接がいいし。
合格発表までは頭を休ませようと思う。

消えない思い、交わらない平行線。
俺とあの子と、彼女とあいつ。
日常は日常であって、日常でない。

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