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記念日(正臣
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「なぁ、結衣ー、デート行こうぜデートー、」
『昨日行ったばかりじゃないの。』
「彼女とのデートなら毎日でも行くのが男の性ってものさ!!な帝人!!」
「え…?あ…えっと…」
ほら、帝人くんが困ってる〜…。
全く…。
最近正臣は、やたらとデートに誘ってくる。
なぜだろうか。
「ほら!!早くっ!!」
バックに荷物を詰めていたのに…、無理やり引っ張られた。
うわ…、教科書がぁ…。週末、勉強出来ないじゃない…。
「あ、松岡さん!またね!!」
『またね。』
引っ張られながらも、微笑しながら帝人に手を振る。
「……おい、帝人。俺の結衣だからな。」
「わ…わかってるよ…」
『………?』
「なぁなぁ、結衣。結衣って今欲しいものないのか?」
『それ、毎日聞くわよね…。今は特にないかしら。』
「そうか〜…、もしかして俺がいるだけで満たされt『それはないわ、絶対に。』うーわ、すごい落ち込むー。」
……まぁ間違いではないんだけど。
というのは死んでも言わないけどね。
それから何日か、正臣は似たような質問を繰り返してきた。
「欲しいものはないのか」
と。
もうすぐ何かあったっけ…?
それから3日後の事だった。
「結衣、結衣!」
放課後。いつものように私の所に来る正臣。
ん?何か持ってる。
「今日は、なんの日か知ってるか?」
『………初めて、私が好きな人とキスした日。』
「……………え、なにそれ詳しく。」
『嘘よ。私の初恋は報われなかったしそれから正臣と付き合うまで恋愛しなかったもの。』
「なんだよ、驚かせんなよ!!危うく、そいつ殴りに行く所だったぜ!つか、それより本当に覚えてないのか?」
『………………悪いけど覚えてないわ…。』
私の誕生日は、10月だし、正臣も今日ではないはず。
「…………なんか俺だけ浮かれてたのか…。」
急にしょんぼりする正臣。なんだか、子犬みたいだ。
『………………、本当に正臣って単純な性格してるわよね。』
「…………は?」
私は、バックから小さな箱を取り出して、正臣に向けて渡す。
━今日は、付き合って一年の記念日でしょ?━
『あんだけ、欲しいもの聞かれたら思い出すわよ。』
「……………ははっ…、なんだよ、覚えててくれたんじゃん…。」
正臣は照れくさそうに笑いながら、私の贈り物を受けとる。正臣も私にプレゼントをくれた。
「……開けていいか…?」
『あまり期待しないでよ?大したもの買ってないから…。』
がさがさと包みを開ける正臣。
「………これ、」
私がプレゼントしたのは、黒の財布。
ついこの間、正臣がこの財布を見つめてた…はず。
『もしかして、もう買ってたりする…?』
私が不安になって尋ねると、首をブンブンと横に振りながら、
「違う!違う!そうじゃなくて…、その…嬉しくて…。」
『…そう、良かったわ。』
正臣が嬉しそうに笑うから、私もつられて笑う。
「おぉ…そうだ。俺のも開けてみてくれよ。」
『えぇ、そうするわ。』
包みを開けると中に入っていたのは、小さいハートがついたネックレスだった。ハートの中は十字型に空いている。
「これがはまるんだよ。」
正臣は、自分がつけていたネックレスを見せた。
『ペアネックレスなのね。』
「そうそう!これ見た時ビビッと来たんだよ!!このネックレスは俺と、結衣がつけるために生まれたネックレスだな!!ってよ!!」
『……まぁ、まずそれはないと思うわ。』
「………。最近結衣が冷たいよ帝人!!!」
帝人に、泣いたフリをしながら走っていくと、若干冷たい目をしながら、
「イチャイチャするなら、よそでやりなよ正臣。」
「…………最近友達と彼女が冷たいです、相談に乗ってもらえませんか。」
『……正臣。』
「ん?なんだ?」
『せっかくだから、正臣につけて欲しいわ?』
ダメ?と首を傾げると、正臣は少し顔を赤くしながら、私のネックレスを受け取って背中に回った。
「…………ん、ついたぞー。」
『ありがとう正臣。どう?似合ってる?』
「………やっぱり俺の彼女はなんでも似合うよなぁ〜…、なぁ帝人!!」
「松岡さん、すごい似合ってるよ。」
すこし赤い顔で帝人褒めてくれた。
『ありがとう。』
私はそれを微笑で返す。
「じゃ、行くか!!」
『え?どこに?』
━もちろん、思い出作るんだよ!!結婚式で発表出来ないだろ!!━
(え、私正臣と結婚するの?)
(え、逆にしないの?)
(いいえ、もちろんそのつもりよ?)
(………なんか面と向かって言われると恥ずかしいな…。)