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『…………間違いだったかな…。』「いやいや、俺と付き合って正解だよ?」(臨也
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『……あんたムカつく。』
「……………ははっ、それは褒めてるの?」
これが私松岡結衣と、折原臨也の初めての出会いだった。
高校二年生の夏。終業式の日に編入は、なかなか珍しい……というかかなり珍しいもので、それは注目された。
親の転勤でこの高校に入学した私は、自己紹介でさっそく失敗した。
もともと、無愛想なほうではあるのは自覚しているのだが、人前に出るとそれが悪化するらしい。
『松岡結衣です。よろしくお願いします。』
それはそれは、もう緊張を通り越して無表情だったと思う。
だってクラスの皆が怯えてたし…。
★
『…………はぁ…、さっそく失敗したー…』
私は、ホームルームの後、一人屋上にいた。
今日は、終業式だから軽いホームルームで終わり。大半の生徒は下校していた。
『(それにしても…』
なんでこのタイミングなんだろう…。
終業式の日に編入とかあり得ないし…。
だったら二学期からとかでいいじゃん!!
うちの親はどうしてそんな早とちりなのかなぁ本当に!!
「……ここまで独り言がだだ漏れの人は初めて見たよ。君、面白い人だね。やはり俺の見立てに間違いはないな。」
どこからか声がする。
『(え、誰!?つか、私の心の声だだ漏れ!?』
私幽霊とでも喋ってるの!?
「ちなみに言っておくけど俺は幽霊という、非科学的なものではないよ。きちんと実体もあるし。ほらこの通り。」
……………いやいやいや、全然分からないし!ほらこの通りって見せられても、あなたがどこにいるかすら分からないんだから!!
「………仕方ないなぁ、きちんと出てきて上げるよ。よっと…。」
彼は、給水タンクの上から降りてきた。
…………普通そこに乗る?
しかも言い方ちょっとウザい。
「君は本当に単純な性格をしているんだねぇ…。顔に出てるよ。俺がウザいって。」
『……出してないです。つか、あんたムカつく。』
「……………ははっ、それは褒めてるの?言葉があべこべだよ。」
『うるさい黙れ消えろそして死ね。』
「わぉ、罵倒のオンパレードだね。言葉が幼稚だけど。」
『………………てか、あなた誰ですか。』
「ん?俺かい?俺はね、」
━ただ人間が大好きな、人間バカだよ。━
……………答えになってないんだけど…。
「あ、もしかして俺の名前を知りたかったの?」
『…………もういいです。』
これ以上こいつと一緒にいたら、頭がおかしくなりそうだ。
私が屋上から校舎に入る扉に手をかけると、
「…………臨也。」
『……………は?』
「俺の名前は、折原臨也だよ。」
━よろしくね?松岡結衣さん。━
自分の名前を呼ばれた瞬間、何か背筋が凍るような感じがした。
『出来ればあの時の私に、教えてやりたいね。今からなら間に合うから折原臨也とは付き合うなってね。』
「もし、それが出来たらそれはそれで面白いね。でもきっと結衣は俺に告白するんじゃないかな?」
『…………なんで私こんな奴と付き合ったんだろ…。本当に…。』
「それはきっと俺が魅力的だかr『え、ついに頭イカれた?それは120%あり得ないし。』…………自分の彼氏にそんな冷たい事良く言えるね。でもまぁ、そんな冷たい結衣も可愛いと思うよ?」
『ちょ…止めてよ恥ずかしい…、』
臨也は私の腰に手を回して、自分の方へと引き寄せた。
一応、一目を気にして欲しいよ、臨也くん。
「……そんな結衣はすごくそそられるね…。」
耳元で喋られてゾクッとする。
『……………バカ』
こんな言葉しか返せないなんて、私は臨也を溺愛しすぎてるね…。
「何?俺の事嫌いになった?」
『………………そんなの臨也が一番わかってる癖に。』
「……………そうだね…。」
━結衣が俺の事大好きなのは一番俺がよく知ってるよ。━
(はぁ…よくもまぁそんなセリフを軽々と。)
(だって事実でしょ?)
(…まぁそうだけど…。)
(…………………ごめん、やっぱり襲っていい?)
(良くないよ!!ってちょ!!やめろぉぉ!!)