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『…………間違いだったかな…。』「いやいや、俺と付き合って正解だよ?」(臨也
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『……あんたムカつく。』

「……………ははっ、それは褒めてるの?」


これが私松岡結衣と、折原臨也の初めての出会いだった。



















































高校二年生の夏。終業式の日に編入は、なかなか珍しい……というかかなり珍しいもので、それは注目された。
親の転勤でこの高校に入学した私は、自己紹介でさっそく失敗した。


もともと、無愛想なほうではあるのは自覚しているのだが、人前に出るとそれが悪化するらしい。


『松岡結衣です。よろしくお願いします。』


それはそれは、もう緊張を通り越して無表情だったと思う。
だってクラスの皆が怯えてたし…。





『…………はぁ…、さっそく失敗したー…』

私は、ホームルームの後、一人屋上にいた。

今日は、終業式だから軽いホームルームで終わり。大半の生徒は下校していた。

『(それにしても…』


なんでこのタイミングなんだろう…。

終業式の日に編入とかあり得ないし…。

だったら二学期からとかでいいじゃん!!
うちの親はどうしてそんな早とちりなのかなぁ本当に!!


「……ここまで独り言がだだ漏れの人は初めて見たよ。君、面白い人だね。やはり俺の見立てに間違いはないな。」

どこからか声がする。

『(え、誰!?つか、私の心の声だだ漏れ!?』


私幽霊とでも喋ってるの!?


「ちなみに言っておくけど俺は幽霊という、非科学的なものではないよ。きちんと実体もあるし。ほらこの通り。」



……………いやいやいや、全然分からないし!ほらこの通りって見せられても、あなたがどこにいるかすら分からないんだから!!



「………仕方ないなぁ、きちんと出てきて上げるよ。よっと…。」


彼は、給水タンクの上から降りてきた。


…………普通そこに乗る?

しかも言い方ちょっとウザい。


「君は本当に単純な性格をしているんだねぇ…。顔に出てるよ。俺がウザいって。」


『……出してないです。つか、あんたムカつく。』



「……………ははっ、それは褒めてるの?言葉があべこべだよ。」


『うるさい黙れ消えろそして死ね。』


「わぉ、罵倒のオンパレードだね。言葉が幼稚だけど。」


『………………てか、あなた誰ですか。』


「ん?俺かい?俺はね、」






































━ただ人間が大好きな、人間バカだよ。━





……………答えになってないんだけど…。


「あ、もしかして俺の名前を知りたかったの?」


『…………もういいです。』


これ以上こいつと一緒にいたら、頭がおかしくなりそうだ。


私が屋上から校舎に入る扉に手をかけると、


「…………臨也。」


『……………は?』


「俺の名前は、折原臨也だよ。」



━よろしくね?松岡結衣さん。━


自分の名前を呼ばれた瞬間、何か背筋が凍るような感じがした。



























『出来ればあの時の私に、教えてやりたいね。今からなら間に合うから折原臨也とは付き合うなってね。』

「もし、それが出来たらそれはそれで面白いね。でもきっと結衣は俺に告白するんじゃないかな?」


『…………なんで私こんな奴と付き合ったんだろ…。本当に…。』



「それはきっと俺が魅力的だかr『え、ついに頭イカれた?それは120%あり得ないし。』…………自分の彼氏にそんな冷たい事良く言えるね。でもまぁ、そんな冷たい結衣も可愛いと思うよ?」


『ちょ…止めてよ恥ずかしい…、』


臨也は私の腰に手を回して、自分の方へと引き寄せた。

一応、一目を気にして欲しいよ、臨也くん。


「……そんな結衣はすごくそそられるね…。」


耳元で喋られてゾクッとする。


『……………バカ』


こんな言葉しか返せないなんて、私は臨也を溺愛しすぎてるね…。


「何?俺の事嫌いになった?」


『………………そんなの臨也が一番わかってる癖に。』



「……………そうだね…。」



━結衣が俺の事大好きなのは一番俺がよく知ってるよ。━


(はぁ…よくもまぁそんなセリフを軽々と。)


(だって事実でしょ?)


(…まぁそうだけど…。)


(…………………ごめん、やっぱり襲っていい?)


(良くないよ!!ってちょ!!やめろぉぉ!!)




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