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ポッキーゲーム(臨也
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「……ねぇ、ポッキーゲームしようか。」
『…………は?』
パキンと、私はポッキーを途中で歯で折る。
………何言ってんだこいつ。
私は、ジト目になって、彼を見つめる。
私の彼氏━、折原臨也を。
「……なんだい?何か文句あるn『大アリですけど?何か?』………、なんだい結衣は俺の事が嫌いなのかい?」
むぅと、頬を膨らます臨也。
……全然可愛くないんだけど。
「………いいからやろうよー、」
臨也は自分の座っていた椅子から立ち上がり、テーブルの上からポッキーを一本取って近づく。
『なんでいきなりそんな事を…、』
「…なんか結衣が食べてるのを見てたら美味しそうだな〜…って。」
『じゃあ…自分で食べればいいのに…むぐっ!?』
無理やり、チョコじゃない方を口に入れられた。
「離したらダメだからね?」
と、言って臨也もポッキーを口に加える。
カリッと、一口かじりゆっくりと私との距離が縮まる。
『(うわっ!近っ!!』
と、口を離そうとすると臨也が私の後頭部を押さえる。
う…動けない。
「……………」
カリッカリッと、どんどん進んでくる臨也の顔。
…もう…キスしちゃ…!!
という所が臨也がポッキーを折ってしまった。
『……………』
呆然と臨也を見る。
臨也は、クスと微笑むと、
「何、そのキスして欲しそうな顔は。」
『ち…違うし!!』
「…………ふーん、」
臨也は、ふっと顔を元に戻すと席に戻りまたパソコンとにらめっこを始めた。
『……………、』
………え、何急に不機嫌になった。
「………、」
なんか、不機嫌オーラ出まくってるし…、
『…………あのー…、臨也…さん?』
恐る恐る臨也に声をかけるが、
「……………なに、」
と素っ気ない返事しか返ってこなかった。
『あ…えっと…、』
「…………………、」
またパソコンに戻ってしまう。
『…臨也…あのごめんね…?』
「…何が、」
『…………だってなんか怒ってるし…、』
「別に怒ってないけど。」
『声が怒ってるもん。』
「怒ってたとしても結衣には関係ないんじゃないの?」
…………、なんだかその言葉は凄く心に突き刺さった。
「…………結衣?」
臨也は私を見て凄く驚いた顔をした。
『へ?あ…え…えっと…、』
私は、涙を流してしまっていた。
なんだか臨也に突き放されたみたいで。
「結衣…あの…えっと…、」
珍しく臨也が困ってしまっている。
そりゃ、目の前で泣かれたら困るよね。
『臨也、目にゴミが入っちゃっただけだから。大丈夫気にしないで!!』
私は、服で涙を拭う。
臨也はそんな私を見て、立ち上がり隣に座った。
そして、私を抱き寄せる。
『い…臨也?どうしたの…?』
「結衣、ごめん。」
『臨也のせいじゃ…ないよ?』
私は敢えて何も言わなかった。
だって、元はきっと私のせいだから。
「……ちょっとした嫉妬だったんだよ…、」
『…………嫉妬…?』
「…なんか…結衣が素っ気ないから…。」
『…………?』
「……キスしたくないって…。」
…あ、ポッキーゲーム。臨也はそれで拗ねてたのか。
『あれは…言葉のあやで!キスしたくないなんて思ってなi…!!!』
そこで私は気づいた。
臨也の顔がニヤリと笑っていたのを。
……………嵌められた!!
と思った時には既に遅くて。
「じゃあ結衣はキスしたいの?俺と。」
『………………。』
「ねぇ、どうなの?」
『……………、もう…臨也が一番分かってるでしょ…?』
私は分かってる。抵抗しても臨也には聞かないって事を。
「言ってくれなきゃ分からないよ?」
『…………………したくない訳…ないよ。』
臨也の意外に引き締まった体に顔を埋めながら答える。
「………………。」
…あれ、無反応?
と思い顔を上げようとすると、臨也はそれをさせてくれなかった。
「…今顔上げられると…俺ちょっと困る。」
『なんで?』
「……………いいから…。」
『………………?』
実は臨也の顔が赤かったのは私は知らなかった。
まぁ、顔上げさせてくれなかったしね。
…………………。
しばらくして。
「もう、いいよ。」
『………………。』
顔上げると臨也はいつもの表情に戻っていて。
一体さっきのはなんだったんだろう?
と思っていたら、いきなりキスされた。
甘く、長く、深く。
それでいてちょっと強引で。
臨也らしいキスだった。
「……………。」
『……………っ…はぁ…』
と臨也がやっと口を離したかと思ったら、妖艶微笑み、
「今日は、色々理性が持たないかも。」
『え…、ちょ臨也?』
「結衣、大好きだよ。」
(………バカ、臨也反則。)
(結衣もさっき反則だったからね。)
(………何が?)
(……………さぁ、夜は長いよ?)
(今、誤魔化した!!誤魔化したよね!?)