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風邪…(正臣
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「ぅ…ゲホッ…、」
『正臣大丈夫?』
「ん…あぁ…、大丈夫だよ…」
その言葉にいつものような正臣らしい元気さは感じられない。
確か昨日からあまり調子が良くないとは言っていた。
…のくせに、いつものように学校に来て…。
無理してるのがバレバレなんですけど。
顔はちょっと赤いし足取りもおぼつかないし。
「そういや、次体育だっけ…。」
『え、正臣体育やるの?』
私の思考を遮り正臣がそんな言葉を口にする。
その状態で、体育なんてハードなものをやったら、倒れるのは確実だろう。
そんな心配を他所に正臣は、肩をぐるぐると回して元気アピール。
私からみたらただの空元気なんだけど…。
不安だなぁ…。
その不安は当たる事となる。
女子は校庭、男子は体育館でそれぞれ授業を行っていた。
女子の今日の体育はサッカー。今私のチームは休憩中で、残りのチームが、あわただしくボールを追いかけている。
そんな姿を私はぼんやりと眺めていた。
と、そこに私の友達の松岡がやってきた。
「何を、ボーッとして。愛しのマイダーリンの事でも考えてたんでしょ?」
いつもの私ならその返事に、
「違うよ!!なんで正臣の事なんか!!」
と反抗したのだが今はそんな気分ではなく、「…んー、」と生返事をするだけだった。
正直凄く心配。今すぐ会いに行きたい。
と、そこへ一人の少年が。確か私と同じクラスの子…。
「あらら…これは君のダーリンに何かあったっぽいね。」
松岡が冷静に分析した。
いや、それどころじゃない!!
と、その少年は私たちの予想通りの答えを口にする。
━紀田が、倒れた!!━
「………………、」
私の隣で静かに寝息を立てる正臣。
正臣は、バスケの試合中に倒れたらしい。
すぐに保健室に運ばれて、とりあえず先生に見てもらって、正臣が起きたら病院に連れて行くように言われた。
まぁ、正臣は一人暮らしだしね〜…。
一人じゃ危ないって事なんだろうけど。
というか、私の予想が大当たりしてしまった。
『だから…体育やらないで、って思ったのに…バカ…』
まぁ、こんな小言正臣には聞こえてるはずもないけど。
『私…すごい心配したんだから…。責任…取ってよね…。』
そんな呟きも、正臣には聞こえてるはずもなく。
時計を見るとそろそろ下校時間。
正臣のバックや自分の物もそろそろ取りに行かなきゃ。
私は、席を立ち保健室を後にした。
☆
実は、正臣は随分前から起きていた。
なので結衣の独り言も全て聞こえていた。
そこで正臣が考えていたのは、
……結衣が、あんなに心配してるなんて俺愛されてるっ!!超愛されてるじゃん!!
まぁ、いつもの正臣と言えば正臣らしいが。
でもまぁ…迷惑かけちまったな…。
今度お礼しなきゃな…。
いつの間にか日が落ちた夕日を見ながら考える。
「…………メイド服で看病も悪くねぇなぁ…。」
『……誰もそんな事しませんけど。』
「うわっ!!結衣!!いつからそこに!!」
『今さっき。』
そこには、愛しい彼女の姿が。
……仁王立ちだけど。オーラ凄い怖いけど!!
『全く!!正臣はすぐそうやってえっちな事考えるんだから!!病人は病人らしく大人しくしてればいいのっ!!』
「い…いや、ただいいなぁって思っただけだから!!家にメイド服が既にあるとかそんなんじゃないから!!」
…さらに墓穴を掘っているのは、まぁ正臣だから仕方ない。
『…………、』
当然結衣には冷めた目で見られた。
「と…とにかく!!…帰るか。」
『……………、うん。』
仕方ないから今日は何も言わずに勘弁してあげる。
病人には優しくしなきゃだから…ね?
(ほら!ちゃんと野菜も食べて!!)
(メイドの結衣ちゃん!ちゃんときちんとメイドらしく!!)
(………だぁぁっ!!もうやってられるかぁぁあっ!!)
(ちょ、結衣暴れるな俺病nぎゃぁあっ!!)
→アトガキ