Short

……うん、鈍感だよね…。(正臣
1ページ/2ページ



正臣のアパート内

「…………………、」

無表情を通す彼。いつもなら、ヘラヘラと、今日ナンパした女の子について語ったりするのに今日は無表情…というか何かに怒っているようにも見えなくない。いや、はっきり言って怒っているのだが。

そんな正臣の姿を真正面から正座で見つめているのが一人。

『……………あの…えっと…、正臣…くん?』


…正臣の彼女、松岡結衣である。

なぜ、恋人同士がこんな険悪なムードになったかというと、時は少し前に遡る。















池袋 サンシャイン60通り
『正臣まだかな…、』


今日は祝日。正臣とデートをする事になっていた結衣は少し早めに到着してしまった。

待ち合わせの時刻は10時。
今の時刻は、9時54分。約5分程の時間が余っている。


━━まぁ、5分なんてあっという間だよね…。

そんな事を考えつつ、ぼんやりと空を見ているとどこからか見知った声が聞こえてきた。


「いーざーやーぁーくーぅーん…!!!なんでテメェはまた池袋に来てんだコラァァ!!!」


「ただの暇潰しさ。せっかく来たのにシズちゃんに会ってしまうなんて…はぁ、俺今日ついてないなぁ〜…。」


折原臨也と平和島静雄である。

あの二人は顔を合わせるだけでこうなる。

あーあ、静雄さんまた、公共の物壊して…その内絶対捕まりそう。

臨也さんは相変わらず、人をそそのかして遊んでる顔してるなぁ…。

と、ふと臨也と目が合う。

『(……うん、嫌な予感しかしない…ってこっち来たぁぁ!?』


臨也がこちらに向かって走ってくる。

いやいやいや…なんであの人はこっち来るの!?って私の知り合いだからか…ってつっこんでる場合じゃない!!今日はデートなんだから面倒はごめん被りたいです!!

と、結衣も全力ダッシュ。

「あっれ?結衣ちゃん、なんで逃げるのかな??」


臨也は当然のように追いかけてくるわけで。

『あなたが面倒事に巻き込まれそうだと思ったからです!!というかついてこないで下さいっ!!』


「やだなぁ、あんなに運命を共にしよu『言ってません!!というか静雄さんも止まって下さいよ!!!』」


聞こえていたのか聞こえていなかったのか、静雄は、結衣に、

「いや、そのノミ蟲が止まらねぇから…、つか、オイコラノミ蟲。結衣とどういう関係だコラ。」


『いや…あの…普通に…知り合い程度なんですけど…』


走りながら喋るのは体力使うわ…。

もう止まろうかな…。


「俺と、結衣はねー、愛を囁きあった仲…『だから違うって何度言ったら分かるんですか!!』」


相変わらず変な事言う人だ、あの人は。


「……………そうなのか。結衣。」


というか、静雄さんも騙されないで下さい!!というか、私の話聞いてなかったんですかあの人は!!


『だから違いますって…っとごめんなさi……………』


歩いている人にぶつかってしまい、慌てて謝る。
顔を上げたそこにいたのは━…
























『正臣…っ…』















その後、正臣に腕を掴まれ正臣のアパートへ。

つか、正臣グイグイ進み過ぎ…、アパートついた頃には、もう、息凄い上がっちゃったよもう…。


その後正臣は、床に座り、無表情で自分の目の前を指さした。


そしてこの状況である。


「………………」


『…………………』


お互いに無言が続く。

が、それを破ったのは正臣だった。


「……………はぁ…結衣…さぁ…、」


正臣のため息に、肩をビクつかせる結衣。
これからどんな事を言われるのか不安で仕方なかったのだろう。

「………………バカなんでしょ。」


『………………は?』


予想を越える言葉で、自分でもマヌケだな、という声が発される。
どんな言葉を言われるのかと思っていたのだが…


「………結衣はあれだよ、あれ…んーと…鈍感?」


『……その言葉探すのに悩んだ正臣の方が馬k「何か言ったかな」いえなんでもないです、ごめんなさい。』

「………結衣は浮気をするような子じゃないって分かってるよ。」

私の、心意を見抜くかのように正臣はそう言った。


『………まぁ正臣みたいにナンパしたりしないs「…………………」ごめんなさい。』


無言の圧力って奴である。
あれほど怖いものはないね。ウン。


「………なんか今回は、ムカつくけど臨也さんに同情した。」


『…………へ?何をどういう事?』


ポカンと正臣を見つめる結衣に、ハァとため息をつくと、そのまま寝転がる。


『??』

結衣は首を傾げながらひたすら頭に疑問符を浮かべていた。


「………………もう、いっか。結衣もわかんないみたいだし…。」


『…………もう怒ってないの…?』


「んー、まぁうん。つか今回怒ってないよ…!!??」


正臣が動揺したのは、結衣の目から涙が溢れ落ちたから。


『ふぇ…うぅ…、』

と、涙を拭いながら必死に嗚咽を堪える。


「ちょ!?結衣!?そんな俺怖かったか!?」


なんか、それはそれでちょっと悲しいかも。
とか思っていたのだが、

『そ…じゃなくて…別れるのか…なって…。』


「……………は?」


今度は正臣が驚いた顔をする。

つか今回のどこに俺達の別れる要素があるのかそこが疑問。

と、その疑問はすぐに答えが帰ってくる。


『なんか…最近臨也さんと遊んだ事あるし…今日も追いかけられたし…、』


……………ほう、臨也と遊んだ事があるのか君は。

まぁ、今は黙っておくことにしよう。これ以上結衣を追い詰めたくないし。



「……………まぁ…、あれだよ。俺は、何があっても結衣を手離したりしないからさ…な?」


その正臣のいつもの優しい声に更に涙が溢れ出す結衣。


正臣は結衣を抱きしめながらその背中をひたすらさすってあげていた。




(んで?臨也さんと遊んだってどういう事?)


(え、それはもう終わった事じゃないの??)


(いや、それはそれ、これはこれ。一からきちんと説明しろよ?)


(正臣がなんか黒い…!)


→アトガキ


次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ