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君を求めて(正臣)
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君という人がいなくなってから、もう一年経った。
今頃貴方は何をしているでしょうか。
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正臣や帝人や杏里が、何らなかの大きな力を持っている事は知っていた。
正臣と帝人が衝突したことも、
正臣が過去にどんな事をされたのか、恋人にどんな事をしてしまったのかも知っていた。
……全部臨也さんに聞いたんだけど。
だけど。
貴方がいなくなる事は想像出来なかった。
ずっと一緒にいられると思っていた。
この四人はずっと一緒に…━。
でも違ったんだね。
貴方は私達の前から姿を消した。恋人と一緒に。
それからかもしれない。
私が、
貴方の姿を探し、迷い歩くようになったのは。
最初の三ヶ月位は本当にずっとフラフラしてて。
ちょっと経てばまた正臣は戻ってくると思っていた。
いつもの笑顔で、
━おー!!相変わらず杏里はエロ可愛いなぁ!!あ、もちろん結衣も可愛いぞ?ただちょっと胸ぐふぅ━
みたいなセリフを言って私に殴られて。
そんな姿を見ている二人が笑っていて。
こんな日常が続く。
と思っていた。
「松岡さんまた明日ね。」
「松岡さん、また明日。」
帝人や、杏里はずっと正臣に会いたがってるよ?
もちろん私もその一人。
二人に笑顔を帰して学校を後にする。
最近は、フラフラする事はなくなったけど、時々しばらくぼんやりと空を眺める事が多くなった。
━この空はどこまでも繋がってる。だからどこにいても俺達は一緒だ!!━
そう言った正臣の笑顔が眩しくて。
私は、マンガみたいなセリフだね。って笑ってたけど。本当はかっこいいと思ってた。
どこにいても、繋がってる。
すごく素敵な事。
でも、やっぱり傍にいないと寂しいよ。
空が繋がってて一緒だとしても。
私は我が儘なのかな。
私の隣にずっといてほしい。
って思うのはいけない事だろうか。
「そこの可憐なお嬢さん。俺とデートでもいかがですか?」
……正臣と初めて会った時もこうやってナンパされたっけ…。
………………え?
染めた髪。耳にはピアス。少し幼い顔。帝人よりは低いけど高い声。
それはまさしく、私の知り合いで私の大好きな人。
『まさ…おみ…っ!』
私がずっと恋していた紀田正臣その人で。
少し背が伸びたらしい。私は見上げる形になった。
「やぁやぁ、可愛いお嬢さん。俺さ、今日彼女と破局しちゃってさ〜!慰めて欲しいんだよね!!」
……沙樹さんと…?
きっと沙樹さんの事だから全てお見通しだったのかもしれない。
正臣がどんな気持ちだったのか。正臣がどうしたいのかも。
「どう?これから俺とお茶でも?そして━…」
━俺の彼女になってくれない?━
『は…い…っ!』
上擦った声に正臣は苦笑しながら私を抱きしめてくれる。
「…待たせてごめんな。俺を好きでいてくれてありがとう。結衣大好きだ。」
『私も…私もだよ…っ!!』
空はどこまでも繋がってる。
果てなく、果てなく。
一度離れてしまってもきっと戻ってくるだろう。
貴方の元へと。
(……つかさ、俺これから沙樹に殺されるかも。)
(えぇっ!?なんで!?)
(……でもまぁ、結衣と一緒だから、死ぬ気なんてねぇけど。)
(……………バカ照れる。)
(あ、結衣ちゃんデレたー!!)
(う…うるさいっ!!)