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プリクラ(臨也
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「…………ねぇ、結衣、なんだいそのプリクラは。」


『へ?プリクラってなんの事ですか…?』


「……………それ、携帯に貼られてる奴。」


『…………あ、』










《妬きもち》


私と臨也さんが付き合い始めてから約一ヶ月が経った。
臨也さんの告白は今でも鮮明に覚えている。

━俺は人が好きだけどそれ以上に君の事を愛してしまったみたいなんだよ。だから責任持って俺を愛してくれないかな?まぁNOとは言わせないけど。━


………男の人に初めて告白されたのが、これってどうなんでしょう。女として悲しくなる。


「結衣、いつまでボーッとしてんの、ほら行くよ。」


『へ?何処にですか?』


「……………結衣、俺の話頷いて聞いてたよね。」


『……………すいません聞いてなかったです。』


もう適当に相槌うつのは止めようと決めていたのに━…。
私ボーッとしちゃうと適当に相槌うっちゃうんだよね…。


それでこの前なんかも臨也さんに襲われそうになったし…。


いい加減にしないと静雄さんに連絡しますよ!!
って言ってなんとか止まったけど━…。


「じゃあ結衣、行こっか。」


『だからどこにですか?』

「……ゲーセンだけど?」


『え、何でですか?』


「そりゃー、プリクラ撮る為だけど?」


『………………………』


「どうかしたのかい?そんな、珍しい物を見るような目をして。」


『い…臨也さんと…プリクラっ!?』


いやいやいや…!!!何で!?もしかして、何かの前触れ?!だったら今のうちに逃げる準備しとかないと!!アメリカ辺りに避難しようかな…。


「いや…だってさ。俺の彼女なのに…こんなプリクラ撮ってるのみたら…ねぇ。」


臨也さんが持っているのは私の携帯。
その後ろに貼ってあるのは一枚のプリクラ。

この前正臣に凄くお願いされて、4人で撮ったもの。
本当は杏里と帝人もいたのにフレームアウトしていて綺麗に私と正臣の2ショットになっていた。

正臣に肩を組まれてるプリクラ。

つか、いつの間に正臣は貼ったんだろうか。


「ほら、とにかく行くよ。」


『…あ、はい』






















新宿 ゲームセンター


『で、どれで撮るんですか?』


「何でもいいよ。結衣が好きなものにして。」


『じゃあ…これにしましょう。』


私が指さしたのは、カップルプリクラフレンドプリクラ等か撮れる最新式のプリクラ。
ちょうど人も入っていなかったみたいなので、迷わず中に入る。


「というかさー、」


『何ですか?』


臨也さんから貰った400円を機械の中に入れる。(私も出すって言ったのに、無理やりお金押し付けられた。)


「俺、プリクラって初めてなんだよね。」


『…………………嘘ですよね?』


「いや、嘘じゃないって。だって俺の友達は新羅かドタチンだよ?あの二人がプリクラなんか撮るように見えるかい?」


『…そうですもんね、臨也さん友達少ないですから』

「…………何、今のはお仕置き希望で言っ『すいません私が悪かったです』


400円全部が入り機械を操作する。


臨也さんは私に全部任せた。それはもう全部。
えーと…カップルコースかフレンドコースか…

と臨也さんは迷わずカップルコースを選択。

いや別に良いんですけどなんか、凄い速さでボタンを押したからちょっと驚きましたよ。





『ほら、臨也さん笑って笑って!!』


「えー、」


『プリクラは笑うものなんですよ!!ほら!!』


プリクラのカウントダウンが始まり、シャッターが押される。

しばらくそれを繰り返した後、最後の一枚になった。

というかさっきから臨也さんは私を抱き締めたり、耳に息を吹き掛けたり…。それでさっきから私は赤面してばかりだった。




そして最後の一枚の撮影になった。

『もう!!さっきから私顔赤くしっぱなしじゃないですか!!』


「いいじゃないか。これはこれで味があるんじゃないかい?」


『最後位ちゃんと撮りましょうね!』


カメラに向かって目線を合わせる。



そして、カウントダウンが始まった。









「結衣。」


『はい?……っ!?』


カシャッ




















『…………………はぁ。』

「なんだかんだで楽しかったねー、また行こうか?」

『もう絶対行きません。』

「なんだよー、最後のキスにまだ怒ってるの?」


そう。この人は最後のプリクラで私にキスをしてきたのだ。


挙げ句の果てにはそれを機械のアルバムに載せた。

あれを友達に見られたら私はもう富士山から飛び降りてやる。

つか、絶対見られるだろうな…。

隣で、スッゴクご機嫌な臨也さん。

携帯にすでにさっきのプリクラ貼ってるからね。


いや、私も見えない所には貼ってあるんだけど…。



「ちなみに、結衣はどのプリクラ貼ったの?」


『友達に見せても問題ないプリクラです。』


「それはつまりキスプリ『貼ってないです。』


…………実はこれは嘘なんだけど、なんだか癪だから絶対にバレるまで言わない。


「俺はキスプリだけどね。しかも一番見えやすい位置に。」


『3つの選択肢をあげます@私に携帯を今すぐ渡すAキスプリを今すぐはがすB携帯を自分粉々に破壊する、もしくは私が破壊する。どれがいいですか?』


「Cの、永遠にこの携帯を使い続ける。にするよ。」

『今すぐ渡して下さいっ!!!』


「はっはー!!やだね!!」


こうして私と臨也さんの追いかけっこがスタートした。


…………もう、せめて見えない所に貼ってくれたら怒らなかったのに。



end



ちなみに━…

私達のキスのプリクラは約3時間程で殿堂入りしたらしく、過去最速だったらしい。




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