Short

おめでとう
1ページ/1ページ

放課後、いつものように帰り道を歩く。
今日は、一人で帰っている。
いつもなら隣に、結衣がいるんだが、今日は用事があるからと先に帰ってしまった。
結衣と俺は一応恋人同士。
つい1ヶ月程前に付き合う事になった、自分で言うのもあれだがラブラブなカップルだ。

………………実は今日は付き合って1ヶ月の記念日なのだ。

本当は結衣と一緒に帰って、お祝いをしたかったのだが、用事があるなら仕方ない。

…………俺だけなのかなぁ、浮かれてんのって。

ハァと項垂れながら、ポケットに手を突っ込みゆっくと坂を下る。
半分程下った所で、ポケットが振動するのが分かった。
携帯が鳴っているのだ。

取り出して開いていると着信は結衣から。


「もしもし?どうかしたのか?」


『…………正臣。1ヶ月記念日おめでとう。』


「っ…覚えてたのか。つかおめでとうって、他人事みたいだな。」


『それもそうだね…。』


クスリと電話越しから笑った声が聞き取れた。


「で?わざわざ電話した理由ってのはなんかあんのか?」


『特には、ないよ。1ヶ月記念日なのに一緒帰れなくてごめんね?』


「いいよ、いいよ、別に。用事、あったんだろ?」


『うん、ごめんね本当に…。』


「だから気にすんなって。」


電話で止まってしまった足を再び進めながら正臣は微笑む。


………やっぱり結衣が好きなんだな。
こんな電話にもドキドキするなんて。


その後は、家に着くまで他愛もない会話ばかりしていた。


「あ、じゃあ家着いたからまた後で電話するな?」


『…うん、また後でね。』

そう言って電話を切る。

通話時間35分って…。
俺んちから来良まで15分かかんないのに…。

ゆっくり歩き過ぎたな、なんて苦笑しながら鍵を取り出して中に入る。


「(………まぁ、人がいないのは当然か。」


家は静寂に包まれており、とりあえず、洗い物でもするかー。その後結衣に電話しよ。と考え、リビングのドアノブに手を掛けて回す。



中に入ったと同時に、パンッとクラッカーの音。


「………………は?」


俺が呆然としていると、クラッカーを鳴らした当の本人がにっこりと微笑んでいた。




















━1ヶ月記念日おめでとう!!正臣っ!!━



(………結衣!!愛してるぞ!!本当にお前は可愛い奴だな全く!!)


(という訳で料理とかも全部用意してあるよ!!)


(さすが俺の未来のお嫁さん!!好きだ!!今すぐ結婚しよう!!)


(………正臣が18になったらね。)


(…………え、マジでいいの?)


(…………うん)

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ