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もしも正臣が…
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『………何それ、カチューシャ?』


私が指差したのは、彼の頭についている物━所詮犬耳という奴だった。

カチューシャにしては妙にリアルなんだけど。


「あー、これか?朝起きたら付いててさ。これじゃあ学校にも行けないだろ?」

『………正臣は動物の耳が生えたびっくり人間なんだねー』


「………………何その棒読み。もしや信じてないだろ。」


『そんな事ありませんよー』


「……………じゃあ触ってみろよ!そんなに信じてないなら!!」


『いや、信じてるって…』

…………まぁ、そこまでいうなら触ってやらん事もないけど?
正臣の頭に生えてる耳に手を伸ばしゆっくり耳の先端に触れる。
と、同時に耳がピクッと動いた。まるで神経が通っているみたいな。
耳もなんだか人並に温かいし。


「ん…っ…」


くすぐったそうな声を出した正臣。

『耳、くすぐったいの?』

「ん〜…、ちょっと、な。」


『…………ふーん。』


私が耳に息を吹き掛けると驚いたような甲高い声を上げた。


「ちょ…結衣っ!!お前…何して…っ」


『………心配させたから。』


「は?」


何がなんだかわかってないな正臣は。
私は正臣の耳を触りながら、答える。


『正臣が…風邪引いたって…心配したのに。』


「………………あぁ、結衣ちゃんは俺が風邪引いて顔を赤くして息が上がってしんどそうにしている俺を想像して心配したと。」


そう言ってニヤニヤと笑う正臣にむかついた私は両耳を引っ張る。正臣はギャーッと大声を上げて私から距離を取った。正臣は若干涙目。
……別にそこまでは想像してないっつーの。

そんな様子を見た私はちょっとすっきりした。少しだけ微笑んで私はずっと玄関に立ちっぱっなしだった事に気づいて靴を脱いで、正臣にお邪魔します。と言いながら中に入る。


「結衣のバカっ!!引っ張るなんてひどい!!」

『………まぁまぁ、減るもんじゃないし?』


「減るとかの問題じゃないのに…、」


ブーブーと文句を垂れている正臣に向かって微笑みながら一言呟いた。



『ごめんね、正臣。大好きだよ。』


(……そんなの反則だよ。可愛いから襲いたくなった。)


(ちょっ、やめっ!!)


(結衣が悪いんだから。)


(まだ…朝っ!!)


(今日はちょーっとハードでスパイシーな一日に…)

(いいから離れろっ!!!)



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