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ハピバ!!
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「…………は?正臣今なんていったの?」


「いや…だからさ、」


喧嘩して、別れたんだよ。

「……………誰と?」


「………………由衣と」





















この話の約数時間前。
俺と彼女の由衣は一緒の帰り道を歩いていた。

「…………そういえばさ、」


『ん?どうしたの?』


「…………昨日、臨也さんに会ったろ」


図星を付かれたかのように、由衣の肩が揺れる。
俺は更に由衣に問い詰めた。

「なんで、会ってた訳?」


『………別に』


目線を逸らしてそう言った由衣。隠し事があるのは明らかだ。

「……俺は、臨也さんなんかと関わって由衣にもしもの事があったら嫌なんだよ。」


『…………臨也さんはそんな事しない。』


彼女は人を簡単に信じる人だから尚更心配なんだ。

だから、少し強めの口調で言った。

「そんなのわからないだろ。臨也さんは人間を駒のように使う奴だぞ?」


『知ってるよ。でも…』


由衣の言葉を遮るように俺は言葉を続けた。

「とにかくもう会わないでくれよ。」


そう言って由衣の頭を撫でようとしたら、手をはたかれた。

俺が、何すんだよ、と言おうとした時には既に由衣は走りだし始めていた。




「…は?ちょ、待てよ由衣っ!!何処行くんだよっ!!」


























そんな感じで、どうしたらいいのか分からなくなったから、帝人に連絡して、来て貰った訳。

「…………………はぁ」


「な…なんだよ帝人ー…」

ファーストフード店に呼び出した俺は正面に座っている帝人を見る。



大きくため息をつかれ少しムッとする正臣。
そして帝人はというと、残っているポテトを食べながら言った。

「てっきり、破局の方かと思ったんだけど。」


「それはない!俺がさせないっ」


「………で、由衣さんと喧嘩になったと」


「まぁな…。てか今回俺悪い点あるか?ないだろ??」


「まぁ、そう言われたらそうだけどね」


臨也さんはとても危険な人だ。
そんな人と一緒にいたら何をされるかわからない。


「でもさー、由衣さんにも由衣さんなりに事情があってやむを得ず一緒にいたんだと思うよ」


「なんだよ、事情って」


「僕に聞かれてもそこまではわからないよ。」



そう言った帝人。
まぁ、確かに帝人の言う通りかもしれないが。




まぁ、なんとなく予想はつくけどね。



なんてボソリと呟いた帝人の言葉は俺の耳には入らなかった。



「………………ハァ」


「なんだよ、帝人ー、ってったぁ?!!いきなり何すんだ!!」


いきなり帝人は俺の頭を殴ってきた。

しかも結構強く。

「正臣、頭冷えた?」


笑顔でそう言う帝人に、ちょっと悪寒を覚えた。
そういえば、こいつ、Sだったんだっけ…。

「冷えたどころか、すげぇ頭のてっぺん熱いんだけど」


叩かれた頭をさすりながらそう答えれば、帝人は残っているジュースを飲み干して言った。

「正臣がいつまでもうじうじしてるから、」


「………だからと言ってなんで叩くんだよ」


ムッと睨み付けても帝人は華麗にスルーした。

「細かい所は気にしない。とにかく、さっさと謝ってきなよ」


「………は」


唖然とした俺の声に、帝人は小さくため息をついた。その後、周りには聞こえないようになるべく小さな声で喋り始めた。


「………昔、臨也さんと正臣は付き合ってたじゃない?」


「……………、」

そう。昔、俺は臨也さんと付き合っていた。

俺が勝手に依存して、勝手に別れを申し出た。

そんな関係。

臨也さんは、あっさり別れてくれたしそれなりにいい関係だったとは思っている。

………あまり好きではないけど。


じゃあなんで付き合ったの?ってなると思うがそこは長いので割愛させてもらう。


「一番正臣の事を知っているのは臨也さんだと僕は思う。」


なくなった、ジュースのストローで遊びながら帝人は話を続ける。


「………だからじゃないの?臨也さんと由衣さんが一緒にいた理由。」


「何が?」



きょとんとする俺に帝人はまた一つため息をついた。
…ため息が多いと幸せが逃げるんだぞ!!
俺の幸せまで奪われてたらどうしよう。



「……………正臣、明日誕生日でしょ」


呆れながらに帝人にそう言われふと思い出した。

「……………………あ」


なるほど、そういう事か。


俺の好みも、なんでも知ってる臨也さんに、由衣は何がいいかを聞いたのか、


俺の誕生日プレゼントに何がいいかを。



「…………だから早く謝ってきなよ」


由衣さんを大切にしてるんだったらさ



「……………帝人、ありがとな!!」


バックを持って俺は、急いでその場を後にした。


「全く…、僕もお人好しだなぁ。」


ライバルにあんな事言うなんて…ね。





























「由衣!!ごめん、俺が悪かった!!」


『…………へ?』


家にいきなり正臣が来たかと思えば頭をさげて謝ってきた。


「一方的に怒って悪かった!!理由あったんだろ?臨也さんと一緒にいたの」


あぁ…、さっきの事か。


『正臣は悪くないよ。臨也さんと出掛けたのは事実だし。』


「……そんでさ。その、臨也さんと出掛けた理由…なんだけど」


こっちに視線を送ってくるあたりもう想像がついているんだろう。
私が、正臣の誕生日プレゼントを選んでいた事に。


『……正臣の想像通り、だと思う。』


「じゃあ…誕生日プレゼント…今もらっていいか?」

『……え、でもまだなんも用意してな…キャッ!!』


正臣に思い切り肩を押され後ろに倒される。


『………どうしたの?正臣…?』


まぁこの状況だと聞くまでもないかもしれないけど。


「由衣を貰うから大丈夫」



だから、もう臨也さんの所なんか行くなよ?


そう言って妖艶に微笑む正臣に、ため息をついて、時計を確認すればまだ午後4時を差したばかりだった。

━━ちょっと早いけど、誕生日おめでとう、正臣。


「由衣、大好きだよ」

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