黒子
□そうやってオレに縋れ
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なにも、しゃべってくんない。
息すんの苦しいくらいつまった空気。
失敗したかな。…それともバレたかな。
きっと俺の心を知ったら彼女はもっと傷つくと、思う。
「私、」
彼女―――なまえちんはやっと口を開いてくれた。
声がこれでもかってくらい震えて掠れてる。
「青峰くんが好きだった。」
知ってる
「純粋にすごい好きだった、のに」
言葉が紡ぎ出されるのに伴って涙がなまえちんの頬を伝った。
「青峰くん。私のことビッチとかわけの分かんないこと言い初めて…二度と近づくなって…言われた。」
彼女は酷く顔を歪めた。
…なんだ、成功じゃん。
残念だけど、全部知ってるよ。
ありもしない噂を流したの俺だから。
「どうしよう、敦…。青峰くんに嫌われた。」
「なまえちん…」
俺は子供のように嗚咽をあげながら泣いているなまえちんを抱きしめた。
これで彼女には見えないだろう。
「俺がいるじゃん」
208cmの頂にある歪んだ笑顔。
『そうやって俺に縋れ』
(好き故なんだから最悪な方法なわけがない)
12/04/27