黒子
□禁忌
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荒々しいキスが始まりを告げる警鐘の代わりだったのかもしれない。
だって叶ってはいけない恋のはずだった。
だから私も諦めてた。
いや、諦めざるを得なかった。
私はいつの間にか涙で顔をぐしょぐしょにしてた。
久しくこんな風には泣いてない。
だってこんなの、赤ちゃんみたい。
嫌だけど、嫌じゃない。
苦しい。だけど嬉しい。
「お前は、嫌だと言うかもな」
そう言って、私を強く抱きしめた。
私とは違う大きな身体。
違う。違うからそんな悲しい顔しないで。
「でも、オレはこの気持ちを抑えきれねえ」
いいよ、いいから。
「好きだ。禁断だと知っていても」
私はぐったりしながら笑った。
涙にまみれた顔は薄い仮面を被ってるみたいだ。
「私も、好きだよ」
お兄ちゃん、あなたのことが。
『禁忌』
(次いでのキスは優しい、恋人みたいなキス)
12/06/20