黒執事
□#03
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燕尾服を着た男が帰った後、急いで体を洗いにいったビーストとナマエは、冷えると体に障るので、足早に各々の部屋へと戻った
「おやすみビースト」
ナマエは自分のテントではなく、ジョーカーのテントでほとんど寝ているのでテントが手前にあるビーストの所で二人は別れる
「おやすみ。ジョーカー待ってないで、早く寝るんだぞ」
とビーストがいたずらに笑いながら注意すると、ナマエは顔を少しだけ赤くして眉を下げて笑う
「もう、からかわないでよ」
もう一度おやすみ、と言ってナマエは車椅子を進めた
「ーなんや、まだ起きとったんか」
結局、髪が乾くのを待っていたらペイントを落としたジョーカーが仕事を終えて帰ってきた
「お疲れ様」
その言葉に微笑むと、ジョーカーはナマエの隣に腰を下ろした
「明日は新入りはんが来はるよ」
髪を止めているピンを一本一本外しながら彼は言った
「今日の人でしょ?」
すごい人だったよね、と言いながら、彼の作業を手伝う
「スーツといい、最近はえらいのがいはる」
全て取り終えると彼は おおきに と礼を述べて、ピンをまとめてベッドサイドに置いた
ペイントもへアセットも何もしていない彼を見れるのは、わたしだけの特権かもしれない
「…偶然、なのかな」
「え?」
あまりに都合のいいことが続いたものだかろ、なんとなく疑ってしまう
「ううん、わたしの考えすぎ」
そう言って笑うと、彼は暗い表情を浮かべるとナマエを抱き締めて肩に頭を乗せた
「ジョーカー?」
「…ごめんな、」
彼の声は小さかったが、彼はたしかにそう言った。
「謝る必要なんてないよ。わたしたちか決めたことなんだから」
ジョーカーが何を言っているかを理解すると、ナマエもジョーカーの背中に腕を回した
「ナマエ…」
そのまま二人は倒れ込み、口づけを交わした