復活
□燃える真紅
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パチパチと、炎が爆ぜる。
赤く染まる視界の中で、彼の背を見ていた。
「チッ…ドカス共が、口ほどにもねぇ」
「…仕方ないのでは?本来ならば貴方様が出る様な任務ではないのですから」
「…ハッ、違いねぇな」
そう言うと彼はその身を翻し、質のいい革靴のつま先を高らかに鳴らして歩いて行く。
それに続くように足を踏み出せば、足元に転がった獲物の腕がぐちゃり、と音を立てた。
「…良かったじゃない。人生の最期にあんな素敵な方のお顔を見ながら逝けたのだから」
黒のブーツが血に染まるのも気にせず、その腕を突いて転がし、何事もなかったかのように歩き出した。
折れた腕、捥がれた脚、放り出された体。
燃える炎、転がる弾丸、朽ちた豪邸。
この場の全て、あの人が作ったものだと思えば…何もかもが、愛おしく思えてくる。
「…末期かな。
貴方に殺して欲しいだなんて、贅沢な願いだこと」
あの炎に、あの弾丸に、貫かれたら…私はきっと、世界で1番、幸せな死を迎えられるのだろう。
燃え盛る真紅の炎と、ピジョンブラッドの瞳を思い浮かべて、そっと笑みをこぼした。
燃える真紅。
それは、貴方の色。
貴方の為に、捧げられた…供物。
2015/02/25 作成
2015/03/08 掲載
季劉