過去拍手置き場
□しあわせ。
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《しあわせ》
「ん…」
あたたかな体温につつまれて目を覚ます。
触れ合っている素肌はお互い少し汗ばんでいたが、それすらも心地よく感じてしまう。
横を見れば、愛しい人の姿。
「あ…」
何時もなら、自分より早く起きている斎藤が、規則正しい寝息を立てて寝ていることに驚き、思わず声をだしてしまった。
斎藤自身、幕末の頃の習性が抜けておらず、あまり眠らない。というより、眠れないと言った方が正しい気もする。
その斎藤が久しぶりに安心して寝ている。
その寝顔をみて、ああ。やっぱり好きだななんて再認識する私は、きっと斎藤無しではいられないんだろうなと思う。
斎藤にとって帰って来る場所が、私であって欲しい。
せめて、ここにいる時だけは彼が安心して寝れるように。
斎藤の頬に口付けをしようとすると、急に手が伸びてきて、唇を奪われた。
「…寝込みを襲うとは、お前も成長したもんだ」
「ちがっ…!って何時から起きてたの…!?」
「さあな。相手してやりたい所だが、俺はまだ寝足りん。さっさと寝ろ」
そう言いながら、斎藤は自分と私に布団を被せ、私の体を引き寄せた。
こんな一時が幸せだ。
「おやすみ、斎藤」
そう言って、次に目覚める時もこの温もりが隣にありますようにと願いながら、瞳を閉じた。
FIN