過去拍手置き場

□暴君のキス
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「あっくん。私に冷たくありませんか。

「チッ……暑苦しい。人の上に乗るんじゃねえよ」

うだるような暑さが続く夏。 私の部屋に我が物顔で寝転がって雑誌を読んでいるあっ くんこと亜久津仁のお腹の上に私は座った。

「だってぜんぜん相手してくれないし。

「あぁ?わざわざここまで来て相手してやってんだろう が」

あっくんはいかにも不愉快そうな声を上げ読んでいた雑 誌を閉じた。

「家に来て早々雑誌読んで相手してるなんてよく言える ね、全く。」

放置される身にもなってみろ馬鹿野郎。私がそう言うと あっくんは舌打ちを一つしてめんどくせえとつぶやい た。 めんどくさいだと?この白菜め。お鍋に放り込んでやろ うか。

「だいたい、あっくんは、むぐっ…!」

私が文句を言おうとするとあっくんが私の口を手で思 いっきり塞いだ。

「ぎゃあぎゃあうるせえな。俺は俺が好きなように行動 するんだよ、なんか文句あるか」

「あるある!全然ある!」

いつも負けてばっかりは



あっくんの手を払いのけ反論。

いられない。いい加減こいつ更生させよう。身勝手すぎ るというかほんと暴君にもほどがある。

「チッ、しかたねえな。」

「うっ、わ…っん!」

あっくんの大きな手のひらが、がしりと私の頭をつか み、私はまともに驚く間もなくそのまま強引に引き寄せ られてキスをされた。 触れるだけのそれが終わる間際、唇が少し離れるとあっ くんは最後に軽く私の唇をあまがみした。

ここまで来るのに疲れたん



「もう少し大人しくしてな。

だ。少しは休ませろ。」

あっくんはそういうと無理やり私の頭を自分の胸板に押 し付けた。わしわしと乱暴に撫でられる頭。

「はぁ…ホントかなわない…」

惚れたほうが負けとはよく言うもんだ。

されると何にも言い返せなくなってしまう自分が憎い。

「てめえが俺に勝てるわけねえだろ」

そういうあっくんの服からすこし香った汗のにおい。 急いできてくれたのだろうかと少しうぬぼれるくらいは いいだろう。

『暴君のキス』

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