少女
□さよなら
1ページ/7ページ
私は自分の誕生日に大切な人と別れた。
話があるとメールで呼び出され、チャット部屋に行ったら、『別れて欲しい』と言われたのだ。
何となく予想はしていた。少し前に、「あいつとは別に気になる人ができた。だから、このまま付き合う訳にはいかない」と友達に相談していた所を見てしまったからだ。
それを見て一瞬心臓が止まり息が出来なくなるような感覚がした。胸がズキズキと痛み、吐き気に襲われた。でも、私にはそれが何なのか、まだ分からなかった。
その日から胸の痛みや吐き気は増し、寝ることが出来なかった。
そして、いくらか落ち着き決心した時にメールが着た。しかし、いざその時になると、決心など何の役にもたたない訳で…。
『別れて欲しい』と言われた時は何が起こっているのか分からず、ただ茫然と画面を眺めていた。
しばらくして、言葉の意味を理解した途端、体が震え、胸が引き裂かれ心臓に爪をたてギリギリと握り潰されるような、塞がっていたはずの傷口を抉られるような痛みが体中に走った。
苦しい…痛い…怖い…声が出ない。おかしい…。こんなはずじゃない。私は、ただ告白されたから付き合っただけで、好きというより友達感覚だったはず…。なのになんで…こんなに苦しい…?
訳が分からずひたすら痛みに耐えた。そして、『私もそう思ってたから気にしないでw』と、出来るだけ明るく返事を返した。
その時、私の手に何かが落ちた。見てみると、その部分だけ濡れていた。そして私は気付いた。私は泣いていたのだ。
…なんで…?なんで泣いてるの?別に好きだった訳じゃないのに…。なんで…?
涙は止まるどころかどんどん溢れてくる。苦しさと悲しさで叫びたくなった。そしてやっと気付いた。
あぁ…私はこの人が好きだったんだ…。いつの間にか私はこの人を好きになってたんだ…。
気付いた途端に痛みも苦しさも悲しさも増した。今更気付いても、もう遅い。もう終わったのだ。何もかも…。
そしてあの人から返ってきた返信には、『ごめん』と書かれてあった。『いつも傷つけてばっかりでごめん…』と何度も何度も謝られた。でも私は、
「ちがうっ!!謝ってなんか欲しくないっ!!そんな言葉なんか聞きたくないっ!!傷ついてるって分かってるなら別れて欲しいなんて言わないでよ!一緒に居てよ!好きって言ってよッッ!!」
そんな自分勝手なことを掠れた声で必死に泣き叫んだ。しかし、そんなことを書き込めるはずもなく、『気にしないでw』と何も気にしていないかのように返信を返した。