少女

□つまりはそういうことだ
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ハッピーエンド

幸せが終わる


一冊の本に書かれていた

正論だと思う



その物語の登場人物がこれから幸せになるだろうところで終わる

物語が終わる

登場人物の世界が終わる

これ程までにハッピーエンドにぴったりな展開はないだろう



この本は狂気だ

そして驚喜だ



良いことを知る代償はでかいが

それだけの価値観を私はこの本から見出だした



この本は狂ってる

私は狂った

否、元から狂ってた

本能だ



そういえば、

周りが殺し合いを始めたら直ぐにその世界に翻弄されそうだと言われた

否定しない

固定する

間違いなく私はその世界に従う



自分より弱いもの

殺めることに戸惑うものを

無表情で手にかける自信さえある

全ては自分が生きるために



そして私より強い人にいとも容易く殺される



私は戦闘に長けていない

運動神経、知力

諸とも人並み、人並み以下

つまり、一般人



…間違えた、

殺し合いは才能あるものだけが残るのではない

殺めることを躊躇わない一般人も生き残る



そして、その一般人が私より

運動神経も知力も上なら殺される



つまり、私は一般人以下

つまり、雑魚



そして、私より下は

さらに雑魚



きっと私はその世界に直ぐに溶け込む

それこそ狂って

無表情で手にかけるなんて最初だけ

最後には笑って手にかける



小説のように書くならば

色を失った底知れない黒い目を猫のように細目ながら

口は左右に大きく吊り上げて

不気味な笑みを称えて笑う

そんな感じ



だって、奈落の底につけば小さな幸せも幸せだから

今日は晴れた

今日は雨だ

転んだ

血が見えた、まだ生きている

アア、シアワセ



あぁ、早くこの本を読み終えなければ

新しい本に手を伸ばさなければ

狂ってしまう

否、狂った本能を引きずり出されてしまう



ほら、またそうやって物語(世界)を終わらせることで

犠牲者(登場人物)を殺め

自分を生かす



私は既に大罪人



そして、新しい本(世界)に手を伸ばし

躊躇いもなく読み終わる(殺める)



もっとゆっくり味わって読んでくれと叫ぶ登場人物の声は聞こえないふり

私はしっかり味わって読んでいる

更に先へと急ぐのは

楽しんでいるから

あなた達の物語(世界)を楽しんでいるから



私は躊躇わない

それは本能を引きずり出されたから

しかしそれは、

本に引きずり出されたに過ぎない

つまり、本なしでは躊躇う

虎の威を借る狐

そんな感じだ



この本にもいたな

信頼していた仲間に裏切られこの世を絶ったやつが

私はそれだろう



いつか仲間(本)に裏切られ

戸惑い

一般人に殺される



そして、その時怖くなる

死に行く怖さに見悶える



結局人が求めるは

居場所でも

愛でも

仲間でも

温もりでもない



安心だ



つまりはそういうことだ


孤独を恐れ仲間をつくる

後次ぐものに安堵しこの世を去る

愛で一人でないと確認する

全ては安心を得るために過ぎない



そして、孤独を否定したいがためのもがきでしかない



それに気づいてしまった人(私)から人は離れていく

私の狂気に気づいてしまった人は離れていく

自分の本能を引き出されないために

孤独にならないために






つまりは


そういうことだ

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